ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

銀河中心のブラックホールを語る。

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銀河系の中心には巨大質量ブラックホールがあります。



話は1930年代前半に遡ります。ベル研究所に勤務する無線技術者のカール・ジャンスキーは、無線通信に影響を及ぼす自然界のノイズを調べているときに、宇宙から電波が来ていることに気が付きました。ジャンスキーは天文学とは無縁でありながら調査を続け、やがて電波源がいて座にあることまで突き止めます。



ところが、残念なことにこの発見は大きく取り上げられることもなく、ジャンスキーも別のプロジェクトへ異動してしまいました。



やがて、第二次世界大戦が終了すると電波天文学が本格的にスタートし、宇宙にある電波源が多く発見されるようになりました。戦争中に実用化したレーダーの技術が天文学に応用されたからです。



この時代、電波源が発見されると星座ごとにA、B、C・・・とアルファベットを割り当てる習慣ができました。例えばカシオペヤ座Aはカシオペヤ座で最初に発見された電波源で、その正体は超新星の残骸であることが分かっています。カール・ジャンスキーが発見した電波源は、いて座Aと呼ばれています。



いて座Aは、3つの部分に分かれていることが観測から判明しました。超新星残骸のいて座Aイースト、渦巻状の構造のいて座Aウエスト、非常に強力でコンパクトな電波源のいて座A*( A*は「Aスター」と読む)の三つです。いて座A*の正体は、銀河系の中心にある巨大質量ブラックホールで、太陽系から2万6000光年の距離にあり、重さは太陽の300万倍もあります。いて座A*のすぐ近くのS2と名付けられた恒星を長期間観測した結果、S2はいて座A*(巨大質量ブラックホール)の周囲を公転していることが分かりました。 いて座A*はエックス線も放っていて、その強度が短い周期で変動します。これはガス雲がいて座Aのすぐ近くを通過するときにエックス線を反射するからで、300年前に起こった爆発による影響と考えられています。



銀河系に限らず、他の銀河の中心にも巨大質量ブラックホールが発見されているので、もはや中心に巨大なブラックホールを持つことは銀河として当然のことと思われています。ただし、銀河ができてから巨大質量ブラックホールができたのか、ブラックホールが先にあったのかは分かっていません。



どの銀河でも中心の巨大質量ブラックホールの質量は銀河全体の質量の0.15%程度で一致しています。これは非常に不思議なことです。銀河が小さいのに中心の巨大質量ブラックホールが極端に大きかったり、その逆に銀河が大きいのに中心のブラックホールは異常に小さかったりというような銀河は見つかっていません。



もし、いて座A*を太陽系の中心に持ってくると。そのサイズは水星の軌道内にすっぽりと収まってしまいます。巨大ブラックホールと言っても意外にサイズは小さいのです。

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参考文献・サイト

大須賀 健 (著)「ゼロからわかるブラックホール」ブルーバックス、2011
福江純/著「カラー図解でわかる ブラックホール宇宙」ソフトバンククリエイティブ, 2009
「ブラックホールと超新星」ニュートンプレス,2010
http://www.nrao.edu/pr/2004/sagastar/
http://www.nrao.edu/whatisra/hist_jansky.shtml

2011/07/18
2015/06/07



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