セイファート銀河を語る。
セイファート銀河とは
中心領域から膨大なエネルギーを放出している銀河を活動銀河[active galaxy]という。
NGC1068:セイファート銀河
出展:cwru
中心領域から放射されるエネルギーは、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、エックス線、ガンマ線等電磁波のスペクトルの広い範囲に及ぶ。
このような中心領域をAGN[Active Galactic Nuclei:活動銀河核]と呼ぶが、AGNが活動銀河そのものを意味する場合もある。
セイファート銀河は活動銀河の一種であり、極めて明るい中心核を持つ。
渦巻または不規則タイプの銀河である。
セイファート銀河という名称は、研究者カール・セイファート[Carl Keenan Seyfert](1911-1960)に由来する。
セイファート銀河の特色
セイファート銀河は、水素、ヘリウム、窒素や酸素等の元素のが放つ極めて明るい輝線スペクトルを持っている。
これらの輝線スペクトルの波長がずれることから、輝線の放射源が高速で回転していることが分かっている。
クェーサーは100億光年以上の極めて遠方に存在する活動銀河である。
つまりクェーサーは100億年以上昔の初期の銀河の姿なのだ。
セイファート銀河はこれとは対照的に比較的近傍に存在する。
誕生後、時間の経過した銀河の姿なのである。
セイファート銀河は、AGNが放射する可視光線のスペクトルによって、セイファート1型とセイファート2型に分類される。
セイファート1型はスペクトル中に「幅の広い輝線」と「幅の狭い輝線」の双方を持つ。
セイファート2型は「幅の狭い輝線」しか有しない。
輝線 | セイファート1型 | セイファート2型 |
幅の広い輝線 | あり | なし |
幅の狭い輝線 | あり | あり |
銀河の中心領域には、巨大なブラックホールが存在する。
ブラックホールの周囲の星間ガスや塵等の物質は、ディスク状の渦をつくりながらブラックホールへと落下していくのだ。
ディスク状の渦を降着円盤と呼ぶ。
NGC4945:セイファート銀河
出展:PBase
降着円盤の回転につれて、これに含まれた物質は摩擦で数100万度にまで加熱されて電磁波を放射する。
これが、AGNが放つエネルギーの正体だ。
輝線の幅は降着円盤の回転速度に比例する。
つまり、AGNには「幅の広い輝線を放つ領域:BLR」と「幅の狭い輝線を放つ領域:NLR」が存在するのである。
セイファート2型のスペクトルには、「幅の広い輝線」が存在しない。
セイファート2型は「幅の広い輝線を放つ領域:BLR」を持っているのにも関わらず、幅の広い輝線が観測できないのだ。
これは、物質による散乱によって幅の広い輝線が地球から観測できないのだ。
1型と2型には本質的な差はなく、地球から観測する角度によって両者の違いが生じるのである。
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参考文献・サイト
Astronomy Picture of the Day
Seyfert Galaxies
2007/05/09
2008/01/27