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ブラックホールとはどんな星?

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光さえ呑み込んでしまう星

ブラックホールはあまりにも重力が強く、光さえも脱出できない天体です。 物質が狭い領域にギュウギュウに詰まると、その周囲の重力が極端に強くなります。ブラックホールは物質が一点に集中したために重力が非常に大きくなった星で、その影響で周囲の空間が大きく曲がってしまい、光がこの空間に閉じ込められてしまいます。 すべての光を呑みこんでしまうので、ブラックホールは光を放ちません。電波も出しません。つまりブラックホールは見えないのです。



地上から真上に向かってボールを投げると、地球の重力の作用でだんだんと減速して一度停止し、やがて地表に落下します。もっと速いスピートで投げれば、さらに高くまで上がりますが、やはり地表に戻ってきます。



もし、投げ上げたときのスピードが十分に速く、ボールが地球の重力を振り切ることができたとしたら、そのボールは地表に戻って来ないでしょう。重力を振り切る最低限のスピードを脱出速度といいます。 脱出速度は天体によって異なり、重い天体ほどその速度は大きな値となり、地球の場合は秒速11.2キロメートル、太陽の場合は、秒速約620キロメートルになります。もし、脱出速度が秒速30万キロメートルの天体があったら、この星から脱出することはできません。秒速30万キロメートルは光の速さです。この世に光より速い物体はないので、どんなにスピードを上げたとしても秒速30万キロメートルの光の速度に届かないからです。



ブラックホールからは光の速度でも抜け出すことができないので、ブラックホールに吸い込まれた物体はこの世界にはもう戻れないのです。



時間が遅くなる 速いスピードで進むと時間がゆっくり経過するという話をご存じでしょうか?超高速のロケットで出かけ地球にもどってくると、その間に地球では何十年も経過していたということがおこります。まるで浦島太郎のような話ですが、光速に近いスピードで移動する物体では現実に起こることが実験で確認されています。このような時間の遅れは重力でも起こり、重力が強いほど時間はゆっくり進みます。ブラックホールは重力が強い天体なので、時間が極度にゆっくりになり、無限に遅く進みます。これを外側から眺めると、時間が止まって見えるのです。



今、ブラックホールに落ちていく物質を外から見ているとしましょう。 この物体はブラックホールの周囲を、円軌道を描きながらクルクルと回転しながら落ちていきます。ところが、ブラックホールに近づくほど、重力が強くなるので、時間の経過が遅くなっていきます。その結果、物体はいつまでたってもブラックホールに落ちていきません。



一方で、この物体に人が乗っていたらどうなるでしょう。 その人にとっては、時間は通常に経過していきます。 その人にとっては、一瞬でブラックホールに呑み込まれると認識するでしょう。

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参考文献・サイト

福江純/著「カラー図解でわかる ブラックホール宇宙」ソフトバンククリエイティブ, 2009
「ブラックホールと超新星」ニュートンプレス,2010

2011/07/12
2015/06/06



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