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ブラックホールに吸い込まれたらどうなるの?

トップページ宇宙論の目次ブラックホールと宇宙論入門ブラックホールと宇宙論入門

幸いなことに、ブラックホールに吸い込まれた人はいませんが、仮に吸い込まれたとしたら生きて帰ることはできません。



宇宙船でブラックホールに近づいてみましょう。近づくにつれブラックホールの重力を強く感じるはずです。ブラックホールまでの距離が十分に離れていれば、エンジンをふかしてブラックホールから逃れることができます。



さらに近付くと事象の地平面がありますが、この面を通過してはいけません。事象の地平面よりブラックホールの内側に入った宇宙船は、どんなに強力なエンジンを持っていたとしてもブラックホールから脱出することはできなくなってしまいます。事象の地平面の内側からは光の速度でも脱出できません。この世に光よりも速い物体はあり得えないので、宇宙船では絶対に事象の地平面の内側から元の世界に戻れないのです。



さらにやっかいなことに、事象の地平面には、すぐに分かるような目印がありません。事象の地平面の内側と外側は、何の変化もなく続いているので、うっかりしているといつの間にか事象の地平面の内側に入ってしまう危険があります。



太陽ほどの質量を持つブラックホールであれば、事象の地平面を超えてから数分間でブラックホールの中心である特異点に到達します。しかし、その前に宇宙船は粉々に破壊され、素粒子まで分解されてしまうでしょう。宇宙船は先頭をブラックホールの中心に向けているとします。宇宙船の先頭は後端よりブラックホールに近いのでより大きな重力を受けることになります。宇宙船の先端と後端で受ける重力の大きさは異なりますが、ブラックホールの重力は極めて大きいので宇宙船の先端と後端で受ける重力の大きさの差も極端に大きなものになり、これによって宇宙船は前後に引き裂かれてしまうのです。



地平線の向こう側が見えないように、事象の地平面の先を見ることはできません。事象の地平面から光が出てくることができないので、どうなっているのかが分からないのです。



ブラックホールに落ちていく宇宙船をブラックホールから十分に離れた安全な場所から見たらどうなるでしょうか? 重力が強いと時間が遅く進むので、ブラックホールに近づくにつれ宇宙船で経過する時間がどんどん伸びていきます。遠くからこの様子を見ると、宇宙船がスローモーションで動いているように見えるでしょう。もし、この宇宙船が1秒ごとに電波でピッ、ピッ、ピッと信号を発した場合、安全な場所では、ピッ、ピッ、ピッの間隔がだんだんと長くなっていくはずです。やがて宇宙船が事象の地平面に到達しますが、それまでには無限の時間がかかります。安全な場所から見ると、事象の地平面では時間の経過が止まっているように見えるので宇宙船は事象の地平面からまったく動かないように見えるでしょう。 これを時間が凍りつくと表現します。



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参考文献・サイト

福江純/著「カラー図解でわかる ブラックホール宇宙」ソフトバンククリエイティブ, 2009
「ブラックホールと超新星」ニュートンプレス,2010

2011/07/12
2015/06/06



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