見えないブラックホールをどうやって発見したの?
はくちょう座で発見されたブラックホール
もしブラックホールが暗いだけの天体なら光を当てれば見ることができるはずです。
しかしブラックホールは光を呑み込んでしまうので、光を当てたとしても見えません。ここでは初めて発見されたブラックホール、はくちょう座X-1を例にして説明しましょう。
1960年代、はくちょう座に強力なエックス線源が発見され、はくちょう座X-1と名付けられました。 はくちょう座で発見された最初のエックス線源という意味です。
はくちょう座X-1の位置を調べると、その場所にはHDE226868という9等星がありました。 エックス線はHDE226868から放射されているのではなく、どうやらHDE226868には伴星がいて、その伴星がエックス線を放っているらしいのです。
不思議なのはここからです。いくら観測してもその伴星を見つけることができません。きっと小さな伴星であると思われました。
ところがHDE226868自体の動きを調べてみると、フラフラと揺れ動いていることが分かりました。これは伴星の重力が非常に大きいためにHDE226868が振り回されているためです。
サイズは小さいのに、重力が非常に大きい星は、ブラックホールしかありません。 それまでは理論的に予測されるだけの存在だったブラックホールの候補がはくちょう座で見つかったのです。
ブラックホールとエックス線
ブラックホールそのものを見ることはできません。 ブラックホールが周囲の物質(ガスや塵)を引き寄せますが、物質はそのまま落下しないでグルグルと螺旋を描きながらブラックホールに吸い込まれていきます。
浴槽の栓を外したときに、水が渦を巻いて流れ出ていくイメージです。ブラックホールの周囲の物質の渦は円盤状に密集します。これが降着円盤です。
降着円盤の中では、ガスや塵がぶつかり合い、摩擦熱が発生します。 この摩擦熱がエネルギー源となって、エックス線やガンマ線を放射するのです。
このエックス線やガンマ線を観測することによって、ブラックホールの存在を探ることができるのです。
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参考文献・サイト
福江純/著「カラー図解でわかる ブラックホール宇宙」ソフトバンククリエイティブ, 2009
「ブラックホールと超新星」ニュートンプレス,2010
2011/07/12
2015/06/06