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ブラックホールに種類はあるの?

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第3のブラックホールの謎

太陽の30倍以上の恒星が超新星爆発を起こしてブラックホールが生まれます。いくらでも巨大な恒星が存在するわけではないので、ブラックホールの質量は太陽の10〜20倍程度でこれ以上のものはありません。このようなブラックホールは恒星ほどの質量しか持たないため恒星質量ブラックホールと呼ばれます。



一方で銀河系をはじめ、銀河の中心部には太陽の100万倍以上のブラックホールがいることが確認されています。このようなブラックホールを巨大質量ブラックホールといいます。太陽の100万倍程度の質量をもつ恒星はあり得ないので、このような巨大なブラックホールが超新星の爆発によって誕生した可能性はありません。巨大質量ブラックホールが、どのようにして誕生したのかはよく分かっていません。



観測史では、最初に恒星質量ブラックホールが発見され、その後に巨大質量ブラックホールが発見されました。今までに発見されている恒星質量ブラックホールの最大のものは太陽質量の20倍弱、一方、巨大質量ブラックホールの最小のものは100万倍です。



太陽質量の20倍から100万倍の間のブラックホールが見つかっておらず、恒星質量ブラックホールと巨大質量ブラックホールとの間はあまりにもかけ離れていることから、このギャップを埋める中間質量のブラックホールが存在するのではないかと長い間考えられてきました。



そのような第三のブラックホールが1993年にエックス線天文衛星あすかによって発見されました。これが中間質量ブラックホールです。中間質量ブラックホールは星団の中にあります。 星団の中で星が次々と衝突と合体をくり返し巨大な質量星となって中間質量ブラックホールになります。その後、中間質量ブラックホールが合体して巨大質量ブラックホールになると考えられています。



ブラックホールは毛が3本

恒星質量、中間質量、巨大質量というカテゴリーは、質量によるブラックホールの分類です。このような分け方以外に理論的なモデルからブラックホールを分類することができます。



恒星には明るさや組成、温度、大きさといった様々な特徴を持ちます。この恒星が重力崩壊によってブラックホールになるとき、これらの特徴の大部分は失われてしまい質量、角運動量、電荷の3つしか残りません。 ブラックホールは色や温度、表面の様子で特徴を表現することができないのです。



ブラックホールの名付け親ジョン・ホイーラーは、公演の中で「ブラックホールは毛が三本」と表現しました。ブラックホールは三本の毛、つまり質量、角運動量、電荷によって4つのタイプに分類されます。



ブラックホールの理論モデル質量角運動量電荷
シュバルツシルト・ブラックホール××
カー・ブラックホール×
カー=ニューマン・ブラックホール
ライスナー・ノルドシュトルム・ブラックホール×

理論的に導かれるブラックホールは上記の4種類ですが、現実の宇宙に存在するのはシュバルツシルト・ブラックホールとカー・ブラックホールの二種だけと考えられています。つまり、電荷を持つブラックホールは実在しないのです。



なお、ブラックホールが質量、角運動量、電荷しか持たないという理論を無毛定理といいます。

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参考文献・サイト

福江純/著「カラー図解でわかる ブラックホール宇宙」ソフトバンククリエイティブ, 2009
「ブラックホールと超新星」ニュートンプレス,2010

2011/07/12
2015/06/06



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