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ブラックホールに終わりはあるの?

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巨大な恒星は一生を終えてブラックホールになります。では一度ブラックホールができると、そのブラックホールは永久にブラックホールのままなのでしょうか?



実はブラックホールにも終わりがあることが分かってきました。ブラックホールは時間の経過とともに、まるで蒸発するように少しずつ小さく、軽くなっていき、最後は消えてなくなります。 この現象はホーキング放射と呼ばれ、1974年にホーキングにより理論的に導き出されました。



ホーキング放射の前に真空について解説が必要です。真空は何もない無の空間だと思いがちですが、現代の物理学では解釈が異なります。 真空中では、無から絶えずペアの粒子が自然に発生しています。しかし、この粒子は発生直後に再び出会い合体して消滅するので、この世の中が自然に発生し続ける粒子によって満杯になってしまうことはありません。 このような発生と消滅をゆらぎといいます。



大量の粒子のペアが、いつも生成と消滅を繰り返しているので、ゆらぎは平均化されて何もないように見えます。このゆらぎは、どこででも発生します。ブラックホールのすぐ近くでも発生します。



事象の地平面の内側からでは、物質もエネルギーも脱出することができません。しかし、すぐ外側ではこのような制約はありません。 ペアの粒子が発生し、一方が事象の地平面を通過してしまったとします。この粒子はもう二度とこの世にあらわれることはできません。ペアの他方の粒子は合体して消滅することもないまま、ブラックホールから離れていきます。



これを遠くの観測者からはどう見えるでしょうか?ブラックホールからエネルギーをもった粒子が飛び出してきたように見えるでしょう。 エネルギーは質量と同等なので、粒子が出ていくたびにブラックホールは質量を失いやせ細っていくのです。この現象がホーキング放射です。



この現象は事象の地平面のすぐ外側から電磁波が放射されているようにも見えます。この電磁波がブラックホールの質量を持ち去るのでブラックホールは徐々に小さくなっていくと解釈してもかまいません。



ブラックホールが大きいほど、ホーキング放射による消滅は遅くなります。銀河の中心にあるような巨大質量ブラックホールは、なかなかサイズが小さくならず、完全に消滅するには宇宙の年齢よりも長い時間が必要です。



反対に小型のブラックホールは激しい勢いでガンマ線を放射しながら、急速に小さくなっていきます。

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参考文献・サイト

福江純/著「カラー図解でわかる ブラックホール宇宙」ソフトバンククリエイティブ, 2009
「ブラックホールと超新星」ニュートンプレス,2010

2011/07/12
2015/06/06



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