シュバルツシルト以前にブラックホールを予測した人は?
アインシュタインの重力方程式がまだ知られていなかった時代に、光が脱出できない星について考えた数学者がいました。18世紀後半から19世紀初頭に活躍したフランスのシモン・ラプラスです。
ラプラスはニュートン力学の式から半径が非常に小さく、質量の大きな星ならば脱出速度が光速を超えてしまうため、光さえ脱出できない天体があると考えました。このような天体からは光が来ないので、ラプラスは暗黒に見えると予測しました。
しかし、ラプラスが予測したブラックホールは、シュバルツシルトのブラックホールと異なります。ラプラスのブラックホールは表面から出発した光が途中まで行って戻ってしまいます。このため遠方にまで光が届きません。これに対しシュバルツシルトのブラックホール(本物のブラックホール)は、表面から光が出発することができません。
アインシュタインはニュートン力学を覆す理論を打ち立てましたが、そのニュートン力学とアインシュタインの重力理論の両方から同じような結論が得られるというのは、非常に興味深いことだと言えるでしょう。
ラプラスは数学者ですが、太陽系の誕生についても関心を持っていました。当時、太陽系がどのようにして生まれたかを説明する様々な説が発表されており、ラプラスはカントとともに星雲説を提唱しました。 星雲説ではチリが円盤状に集まり回転しながら固まって惑星に、中心部が太陽になったと考えています。これは現在の太陽系の誕生理論の原型になっています。 |
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参考文献・サイト
福江純/著「カラー図解でわかる ブラックホール宇宙」ソフトバンククリエイティブ, 2009
「ブラックホールと超新星」ニュートンプレス,2010
2011/07/12
2015/06/06