ブラックホールからエネルギーを取り出すことは可能なの?
ペンローズ過程
理論物理学者のロジャー・ペンローズは、カー・ブラックホールを利用してゴミ問題とエネルギー問題を同時に解決する方法を考案し、1969年に論文として公表しました。この方法をペンローズ過程といいます。 ペンローズ過程は理論的には可能ですが、仮に実現できたとしても遠い将来のことになるでしょう。
ロケットにゴミを詰めたカプセルを載せカー・ブラックホールへ運びます。ロケットはカー・ブラックホールの回転方向からエルゴ領域に侵入し、後方へ向けゴミのカプセルを放出します。ロケットは時空の歪みの渦による後押しを受けてカー・ブラックホールから離脱します。
ロケットのスピードはエルゴ領域への突入前よりも速い速度で離脱するのでエネルギーが増しているのです。一方でカー・ブラックホールはゴミのカプセルを吸収したことで回転が鈍るので自転エネルギーが減少します。
ペンローズ過程では、ブラックホールを単なるゴミ捨て場ではなく、エネルギー源としても活用しているのです。
カー・ブラックホールはまさに宇宙のゴミ処理場として利用できるのです。ただし地上のゴミ処理場と同じで限界があります。 大量のゴミを捨て続けると自転のエネルギーがどんどん減少し、やがてエネルギーを取り出すことができなくなります。その時は次のカー・ブラックホールを探さなくてはならないでしょう。
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参考文献・サイト
福江純/著「カラー図解でわかる ブラックホール宇宙」ソフトバンククリエイティブ, 2009
「ブラックホールと超新星」ニュートンプレス,2010
2011/07/12
2015/06/06