大森公式を語る。
大森公式とは
地震が発生したとき、最初は「カタカタ」とした振動を感じる。
その後に「ユッサ、ユッサ」という揺れが来る。
「カタカタ」を初期微動という。
初期微動が始まってから、「ユッサ、ユッサ」が来るまでの時間が初期微動継続時間だ。
震源が遠ほど、初期微動の継続時間は長くなる。
「初期微動の継続時間」と「震源距離」の関係をまとめた公式が大森公式である。
初期微動の継続時間と震源距離は比例するので、初期微動の継続時間を測れば震源距離が計算で求められるのだ。
大森公式は、日本人の地震学者・大森房吉に由来する。
海外では、オオモリの法則[Omori's low]と呼ばれている。
大森公式の計算方法
大森公式の意味
地震波には、P波とS波の2種類がある。
地中で地震が発生すると、P波とS波は同時に震源を出発する。
ところがP波はS波よりも速いので、先に地表に到達する。
このため、地表ではまずP波による揺れを感じ、少し置いてからS波による揺れが始まる。
P波による揺れが始まってから、S波による揺れが始まるまでの間を初期微動という。
地震の揺れは地震計にグラフとして記録される。
この記録を見ると、初期微動の継続時間が分かる。
P波到着時刻とS波到着時刻の差が、初期微動の継続時間に相当する。
震源距離(震源と観測地点間の距離)が遠いほど、P波到着時刻とS波到着時刻の差が開く。
震源から遠いほど初期微動の継続時間が長くなるのだ。
つまり、
初期微動の継続時間tが分かれば、震源距離dが分かる
ということになる。
初期微動の継続時間tは、地震計が記録したグラフを見れば読み取れる。
「初期微動の継続時間t」と「震源距離d」の関係を示した公式が大森公式である。
大森公式は、日本人の地震学者・大森房吉によって考案された。
大森房吉は、連続記録式の地震計の発明者でもある。
大森公式の計算
震源を出発したP波が、速度VPkm/秒で震源距離dを経て観測地点に到達する時間tPは
(時間=距離÷速度)
同様に、P波と同時に震源を出発したS波が、速度VSkm/秒で震源距離dを経て観測地点に到達する時間tSは
初期微動の継続時間tは、tSとtPの差である。
この式を変形すると
VS VPは一定なので
と置くことができる。(kは定数)
kを代入すれば、震源距離dは、初期微動の継続時間tに比例することが分かる。
このkを大森定数と呼ぶ。
地上で地震動を感じると、地震計が揺れをグラフとして記録する。
地震計のグラフを見れば、初期微動時間tを知ることができる。
このtとkの積が、観測地点からの震源距離になるのである。
大森定数は「定数」といいながら、実際は定数ではない。
地質や地殻の構造にも依存するので、VS、VPは一定ではないのだ。
このため、大森定数は場所によって異なっている。
大森定数はおおむね4〜9㎞/秒程度の値になる。
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参考文献・サイト
2008/02/16
2008/05/04