ケック干渉計を語る。
ハワイ島マウナケア山の山頂は、各国の天文台が密集するエリアとして有名である。
シーイングに優れ、光害もない。赤道に近いのでほぼ全天がカバーできる理想の観測地だからだ。
日本の国立天文台のすばる望遠鏡もこの一角を占める。
このエリアの中の一つにケック天文台がある。
ケック天文台には、口径10mの反射望遠鏡が2台、85mの距離を隔て設置されているのだ。
出展:NASA
この2台の望遠鏡から得られた画像を重ねて、干渉計として利用したものがケック干渉計[Keck Interferometer:KI]だ。
KIと略す。
KIは画像を得るための干渉計と言うよりも、強力な光を弱める干渉計なのである。
このような種類の干渉計をナリング干渉計という。
NASAのナビゲータープログラムは、生命が住む太陽系外の惑星を探す計画である。
KIは、このナビゲータープログラムの一部を担う機器なのだ。
太陽系外惑星を直接見ることはできない。
中心の恒星が明るすぎて、肝心の惑星が見えないのだ。
そのため、太陽系外惑星の検出はトランジット法やドップラー法が利用されてきた。
これらの方法は、惑星が存在する間接証拠を見つける方法である。
やはり、直接太陽系外惑星を確認したいという欲求は満たせない。
そこで、登場するのがナリング干渉計であるKIだ。
実際のテストによると、KIは中心恒星の光度を100分の1にまで弱めることが確認された。
これにより、恒星の周囲のダストの雲や天王星サイズの惑星を検出が可能になるのである。
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参考文献・サイト
Wikipedia Keck Interferometer
NASA PlanetQuest
2010/01/22