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相対性理論のQ&A

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重力がレンズの役割を果たすの?

巨大な質量は周囲の空間を歪ませるため、光は直進せず曲がってしまいます。遠方の銀河や恒星の光が手前の天体近くを通ると、重力によって曲がって見える現象を重力レンズといいます。



手前の天体の重力が大きければ、レンズの効果は顕著になり、重力が小さければ効果は目立ちません。 レンズの効果の度合いによって、重力レンズは三種類に分類されます。

種類説明
強い重力レンズ手前の天体の重力が強い場合、遠方の天体の像が複数に分かれて見えます。
弱い重力レンズ手前の天体の重力が弱い場合、遠方の天体の像が変形して見えます。
マイクロレンズ手前の天体の重力が極度に弱い場合、遠方の天体の像は変形せず、明るさが変化して見えます。


重力レンズの効果によって、100倍以上に明るく見えるケースもあります。このため通常では観測できないような暗い銀河でも、たまたま手前に大質量の銀河があれば重力レンズの効果によって、細かい観測ができたりします。まさに天然の望遠鏡です。 レンズの役を果たす天体をレンズ天体といいます。



重力レンズ
重力レンズ
出展:国立天文台:広視野深宇宙探索によるダークエネルギーの研究

銀河団を重力レンズで観測することで、銀河の質量を見積もることができます。 ところが、銀河が放出するエックス線の量から計算された銀河の質量は少ないことがわかりました。このことから、銀河間の宇宙には、目には見えないけれど重力を持った物質ダークマターが存在することが分かってきたのです。



銀河や銀河団だけでなく、恒星もレンズ天体になる場合があります。レンズ天体となった恒星が惑星を持つ場合、惑星の公転に伴って遠方の天体の明るさが変化します。この光量の変化をとらえることによって、太陽系外惑星を発見することができます。



重力レンズは、本来、観測者に来ないはずの光を集めます。 この影響で光源は実際よりも明るくなるので遠方の天体を観測することができるのです。 アインシュタイン自身は、重力レンズを理論上の可能性と考えていて実際には見つからないだろうと予測していました。



重力レンズの作用によっては、一つの光源がリング状に見える場合もあります。これをアインシュタインリングといいます。



重力レンズの最初の発見は1979年3月ですが、偶然にもこの年はアインシュタインの生誕100年に当たっています。

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参考文献・サイト

佐藤勝彦/監修「最新宇宙論」学研,2009
「ニュートン別冊 相対性理論」ニュートンプレス,1991
真貝寿明/著「タイムマシンと時空の科学」ナツメ社,2011
佐藤勝彦/著「相対性理論を楽しむ本」PHP文庫,2011

2012/08/02



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