相対性理論のQ&A
重力波をつかまえる研究は?
重力波の検出は、現代の天文学、物理学の大きなテーマの一つになっています。 重力波は時空が波打つように伝わる現象なので、強力な望遠鏡を使っても観測できません。重力波を検出する装置は、共振型検出器とレーザー干渉計型検出器の二つのタイプがありますが、現在ではレーザー干渉計型検出器が主流です。
レーザー干渉計型検出器は、チューブの一端からレーザー光を内部に向けて放射し、反対側で反射させることでチューブの長さを極めて精密に測ります。 もしチューブの長さが少しでも変化したら、空間がゆがんだからであり重力波が来たことが分かります。 このような精密な測定を行うためにチューブの中を高真空にし、高い精度の鏡が要求され、チューブは数キロメートル以上の長さが必要です。さらに振動を防止するための工夫も必要です。
LCGT
岐阜県の神岡鉱山は超新星のニュートリノを検出したカミオカンデや、ダークマターの検出を目指すXMASSのある場所として有名です。神岡鉱山にはこれ以外に、重力波の検出を目指すLCGTも建設中です。レーザー干渉計の基線長は3000メートルもあります。 http://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.jp/
LIGO
レーザー干渉計重力波天文台の略で「ライゴ」と読みます。LIGOはNSF(米国国立科学財団)の支援を受けた重力波を検出するプロジェクトです。2002年から稼働しています。4キロメートルに及ぶ干渉計を直行させて重量波を検出します。
http://www.ligo.caltech.edu/
VIRGO
VIRGOはイタリアのピサ校外に建設されたレーザー干渉計で2007年から稼働しています。3キロメートルに及ぶ干渉計を直行させて重量波を検出します。 http://www.ego-gw.it/virgodescription/pag_3.html http://www.ego-gw.it/virgodescription/pag_1.html
LISA
3機で一組の衛星を使って重力波を検出する実験がLISAです。この計画では太陽を周回する軌道上で、3機の衛星が、1辺が約500万キロメートルの正三角形の頂点になるように並び、レーザーを照射し互いの距離を正確に測定します。地球と月の間が38万キロメートルですから、いかに大きな三角形かが分かります。光のスピードでも500万キロを走るのに17秒かかります。正三角形の中心は、地球を追いかけるようにして、地球と同じ公転軌道上を進みます。正三角形の面は、地球の公転軌道面から60度傾斜し、3機の衛星は三角形の中心を1年かかって一周します。
衛星は直径2.8メートル、高さ0.76メートルの円筒形で太陽電池で動作します。
3機の衛星は1機のデルタロケットで同時に打ち上げられ、地球脱出軌道に投入されます。その後、各衛星は推進システムを使い、13カ月かかってそれぞれの位置へ到着します。このミッションはNASAとESAによる計画で10年続きます。 http://lisa.nasa.gov/ http://sci.esa.int/science-e/www/area/index.cfm?fareaid=27
DECIGO
日本が進めている重力波を検出する計画がECIGO(デサイゴ)です。
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参考文献・サイト
佐藤勝彦/監修「最新宇宙論」学研,2009
「ニュートン別冊 相対性理論」ニュートンプレス,1991
真貝寿明/著「タイムマシンと時空の科学」ナツメ社,2011
佐藤勝彦/著「相対性理論を楽しむ本」PHP文庫,2011
2012/08/02