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相対性理論のQ&A

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重力と電磁気力は統一できるの?

物体は地球に向かって落下しますが、月は地球の周囲を公転します。



かつて、物体の落下と月の公転は、違う法則によって起こる現象だと考えられていました。ニュートンは、鋭い洞察によって物体の落下も月の公転も共通の法則が原因であると見抜きました。これが万有引力の法則です。ニュートンは落下と公転を一つの理論に統一したのです。



電気の力と磁力も別々の法則に従うと考えられていました。マックスウェルは、この二つが同じものであることを突き止め電磁力として統一しました。



このように物理学の発展の歴史の中には、別々に思われていた法則が実は同じだったということが起こります。アインシュタインも特殊相対性理論の中でエネルギーと質量を統一しました。



一般相対性理論の正しさが証明されると、今度は電磁力と重力の統一を目指す機運が高まりました。



アインシュタンも重力と電磁気力の統一を目指しますが30年の時間をかけても成功しませんでした。この世界には4種類の力があります。重力、電磁気力、強い力、弱い力です。強い力、弱い力は原子核の中で生じる力なので、日常でこられを感じることはできません。

「手で壁を押したときに感じる力は?」と聞かれるかもしれません。これは電磁気力です。筋肉の伸縮は筋肉組織に含まれる原子間の電気的な反発や吸引で起こるからです。日常で感じる力は、分解して考えれば重力か電磁気力に還元されます。

アインシュタインの時代には強い力、弱い力は知られていませんでした。




4つの力のうち、弱い力と電磁気力はワインバーグ=サラム理論によって統一されました。
されに、これに強い力が大統一理論によって統一されようとしています。




大統一理論は、理論としてはほぼ完成しているのですが、内容が正しいかどうか、まだ確かめられていません。大統一理論によれば、壊れないと信じられていた陽子が崩壊すること、絶対にないと思われていた磁気単極子が存在することが理論的に導かれます。



つまり、陽子の崩壊や磁気単極子が発見されれば大統一理論が正しいことになります。小柴昌俊教授は陽子の崩壊の瞬間を捉えようとカミオカンデを運用していましたが、期せずして超新星爆発に伴うニュートリノを観測しノーベル賞を受賞しました。



現代の科学では、このような順番で力の統一を進めています。いきなり、電磁気力と重力を統一しようとしたアインシュタンの考えには無理があったのです。

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参考文献・サイト

佐藤勝彦/監修「最新宇宙論」学研,2009
「ニュートン別冊 相対性理論」ニュートンプレス,1991
真貝寿明/著「タイムマシンと時空の科学」ナツメ社,2011
佐藤勝彦/著「相対性理論を楽しむ本」PHP文庫,2011

2012/08/02



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