ラグランジュポイントを語る。
ラグランジュポイントとは
主星の周囲を伴星が公転している場合、伴星の軌道付近に特殊な場所が5つある。
もし、小天体がその場所に入ると、主星と伴星との位置関係を保ちながら安定して公転できるのです。
この場所をラグランジュ・ポイントと呼びます。
18世紀半ば、スイスの数学者・天体物理学者オイラーが、主星と伴星を結ぶ直線上に、物体が安定して存在できる三点を計算によって導きました(オイラーの直線解)。
その後、フランスの数学者ラグランジュが、主星と伴星を一辺とする正三角形の頂点も安定していることを発見し、五つの特異な点が存在することが分かったのです。
太陽-地球系のラグランジュポイント
主星と伴星の関係は、太陽と地球の関係に当てはまります。
つまり、地球の公転軌道の付近に5つのラグランジュポイントがあるのです。
L1
L1は、地球から太陽へ向かって150万キロメートルの空間にあります。
月の軌道半径は38万キロメートルなので、L1は、月よりも約4倍遠い位置になります。
常に太陽の手前にあるので、L1は太陽観測衛星の設置に適しており、観測衛星SOHO、ACE、WINDが置かれています。
L2
L2は、地球から太陽の反対方向へ150万キロメートルの空間にあります。
常に地球の影になるため、太陽光はあたりません。太陽光の影響を避けたい観測衛星に適します。ここには観測衛星WMAPが置かれています。
将来、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡もここに置かれる計画です。
L3
L3は、地球から見て太陽の裏側にあります。
このため、L3を地球から直接見ることはできません。
昔から、このL3に未知の惑星が存在するという主張がありました。
しかし、探査機の調査によって、L3に惑星サイズの天体は存在しないことが判明しています。
L4、L5
地球軌道上の60度前方がL4、後方がL5です。
ここでは、惑星間塵が集まった雲状の天体が確認されています。
地球-月系のラグランジュポイント
地球(主星)と月(伴星)の関係でも、5つのラグランジュポイントが存在します。
以前、L4 、L5に雲状天体が確認されコーディレフスキー雲と命名されました。
現在では、コーディレフスキー雲の存在は疑問視されています。
なお、地球-月系の5つのラグランジュポイントには、人工天体は置かれていません。
太陽-木星系のラグランジュポイント
太陽(主星)と木星(伴星)の関係では、L4、L5に小惑星の一群が発見されています。
これらをトロヤ群といいます。
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参考文献・サイト
2009/02/18