特異点を語る。
特異点とは
ブラックホールの中心:特異点
質量が一点に集まり無限に小さくなった天体がブラックホールだ。
この質量が集中する中心を特異点という。
ブラックホールの周囲の重力は非常に強いため、近付くと二度とこの世に戻って来ることができなくなる限界がある。
この限界を事象の地平面といい、ブラックホールの中心(特異点)から事象の地平面までの距離がシュバルツシルト半径だ。
特異点では、圧力、密度、時空の曲率が無限大になり、すべての物理法則が成り立たたない、時間も空間もない場所だと考えられている。
ホーキングやロジャー・ペンローズは、ブラックホールの中心には必ず特異点が存在していることを数学的に証明した。
裸の特異点
特異点は事象の地平面の内側にあるため、この世の中に現れることはない。
したがって通常の物理法則への影響はありえない。
ところが、アインシュタインの重力方程式の複数ある解の中には、自然界に特異点が存在することを示唆したものがある。
このような特異点を裸の特異点という。
もしも、裸の特異点が自然界に存在すると、物理法則に矛盾が生じることになる。
秩序が保たれた物理法則の世界に、物理法則が通用しない点が存在することを許すのですから、大変な問題になるだろう。
ロジャー・ペンローズは、自然界には裸の特異点を許さないような法則が存在しているだろうと考え、これを宇宙検閲官仮説と命名した。
裸の特異点が現れないように、まるで見張り番(検閲官)が監視しているイメージである。
宇宙検閲官仮説は、未だ証明されていない。
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参考文献・サイト
福江純/著「カラー図解でわかる ブラックホール宇宙」ソフトバンククリエイティブ, 2009
「ブラックホールと超新星」ニュートンプレス,2010
Black Holes
Black hole monster in a spin releases energy!
Where are the supermassive black holes hiding?
2011/07/30
2015/06/06