宇宙速度を語る。
宇宙速度とは
宇宙速度とは、探査機や人工衛星の基本となる3種類のスピードのことである。
人工天体に限らず、宇宙速度は天体力学全般に適用できる。
下表に示すように、宇宙速度は3つある。
宇宙速度 | 意味 | 地球の場合の値 |
第1宇宙速度 | 人工衛星になるための最低速度 | 秒速約7.9km |
第2宇宙速度 | 人工惑星になるための最低速度 | 秒速約11.2km |
第3宇宙速度 | 太陽系を脱出するための最低速度 | 秒速約16.7km |
地球の場合の宇宙速度
第1宇宙速度
物体を水平方向へ投げれば、放物線を描いて落下する。
さらに、水平方向へ投げる勢いを強めれば、落下地点はさらに遠くになる。
そのまま水平方向への投げる勢いを強めていけば、落下地点は地球の反対側に到達する。
さらに、勢いを強めれば、落下地点は地球を一周回って元の位置の足元に至る。
勢いが、もうすこし強いと、物体は最初の位置へ戻って来てそのまま回転を続けてしまう。
これが、人工衛星が周り続ける原理であり、月が地上に落ちてこない理由である。
物体が円運動に達する最小の速度は秒速約7.9kmである。
これが第一宇宙速度である。
第2宇宙速度
第一宇宙速度よりも、速い速度であれば、人工衛星の回転半径は大きくなる。
しかし、速度を速めていけばどこまでも、回転半径が広がっていくのではない。
いつかは、地球の引力を振り切ってしまう。
この状態に達する最小の速度は、秒速約11.2kmである。
これを第二宇宙速度という。
第二宇宙速度は、地球の引力圏から脱出する速度でもある。
ここから第2宇宙速度を脱出速度とも呼ぶ。
第3宇宙速度
第2宇宙速度で地球の引力を脱出した人工天体は、今度は太陽の引力に捕捉され太陽の周囲を公転する。
この場合を人工惑星と呼ぶ。
もし、太陽系から脱出したいのであれば、太陽の引力を振り切らなくてはならない。
このために、必要な最小速度は秒速約16.7kmだ。
この場合、地球の水平方向へ打ち出す速度ではなく、地球の公転方向に打ち出す速度である。
この速度を第3宇宙速度という。
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参考文献・サイト
Escape Velocity: Fun and Games
Basics of Space Flight Section I. The Environment of Space
2009/01/16