フェニックスのMARDIを語る。
Mars Descent Imager[MARDI]は、火星大気降下中に地上を撮影するカメラである。
エアロシェルを分離した直後から撮影が開始する。
数々の火星探査機が火星の地表へと降下したが、降下中の地上撮影はフェニックスが初である。
MARDI
横はサイズの比較のための小型ナイフ
出展:Malin Space Science Systems
着陸後にまず「探査機はいったい何処に着陸したのか」を知ることは非常に重要である。
着陸地点があいまいなままでは、以後に続く探査の計画が精度よく立案できないからだ。
また「どのような土地を探査しているのか」を知ることによって、探査データの解釈も変わってくるだろう。
上空を周回する衛星から撮影した着陸付近の画像と、着陸した探査機が地上で撮影した写真をマッチングして着陸地点を特定する。
上空から見た地形と、地上の風景を照合すれば探査機の位置が分かるのだ。
ところが、照合に適した地形(特徴のあるクレーター等)が、たまたま着陸地点から見て地平線の向こうになってしまうと着陸地点が特定できなくなってしまう。
くぼ地に着陸すると、居場所が特定できない
出展:Malin Space Science Systems
また、着陸地点がくぼ地になっていると周囲の景色が把握できないので、この場合も特定できない。(左図)
どのような場所に着陸しようとも、確実に着陸地点を特定するための技術がMARDIだ。
MARDIは降下開始時から、着陸するまで、何枚も静止画を撮影する。
上空からの撮影画像、着陸地点からの撮影画像に加え、降下中の画像を使用することにより、着陸地点が特定可能になるのである。
MARDIにはマイクロフォンも装備されていて、降下中の音も記録する。
MARDIはMSSS社による開発である。
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参考文献・サイト
NASA Phoenix Mars Mission
Planetary Chemical Analysis Laboratory
Malin Space Science Systems, Inc.
2007/05/22