ビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A
ビッグバンへの反論は?
定常宇宙論
ハッブルが宇宙の膨張を発見すると、この解釈を巡って二つの理論が対立しました。
定常宇宙論と火の玉宇宙論です。
最初の登場は定常宇宙論です。
当時、宇宙は始まりも終わりもなく安定していると考えられていました。
宇宙が膨張していれば、中身はまばらになっていきますので、安定とは言えません。
そこで宇宙が広がった分、それを埋め合わせるように、次々と新しい物質が生まれて散らばっていくという考えが発表されました。
この考えが定常宇宙論です。
これに対抗する考えが、火の玉宇宙論です。
火の玉宇宙論は、現在のビッグバン宇宙論のルーツです。
互いに遠ざかっていく銀河を、逆にたどると、一点に収束します。
火の玉宇宙論では、宇宙はこの一点から急激に始まったと考えました。
物質が集中しているので密度が高く高温高圧のため、初期の宇宙はまるで火の玉のような状態だったと考えたのです。
火の玉宇宙論と定常宇宙論は、激しく対立しました。
特にフレッド・ホイルは定常宇宙論派の中心人物で、あらゆる場面で火の玉宇宙論を攻撃しました。
ある討論で、嘲笑の意味で「火の玉宇宙論は、宇宙は大爆発(ビッグバン)によって始まったことになる。」と言って火の玉宇宙論を非難したところ、「ビッグバン」が、あまりにぴったりの表現のためこの言葉が広く浸透しました。
火の玉宇宙論を考えたガモフ自身もこの「ビッグバン」という表現が非常に気に入り、好んで使ったようです。
当初、定常宇宙論は天文学の世界で圧倒的な支持を得ましたが、宇宙マイクロ波背景放射が発見されると、急激に支持を失いました。
長い論争と観測事実の積み重ねによって、今日ではビッグバン宇宙論が正しいとされています。
フレッド・ホイルは定常宇宙論を固持したまま2001年に生涯を終えました。
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参考文献・サイト
Black Holes FAQ
Q & A: Black Holes
2012/07/31