ビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A
ビッグバンがあった証拠は?
ビッグバンの証拠はいくつかありますが、ここでは主なものを3つ紹介します。
宇宙背景放射
宇宙全体を均一に満たしている放射(電波)を宇宙背景放射といいます。
1965年にアルノ・ぺンジアスとロバート・ウィルソンが発見しました。
宇宙背景放射の存在が明らかになったことで、それまで優勢だった定常宇宙論に代わって、ビッグバン宇宙論を支持する学者が増えていきました。
当時、二人はベル研究所に勤務する技術者で、人工衛星との通信技術を研究するため、宇宙から来るノイズを調査していました。
人工衛星からの電波は微弱なためノイズに埋もれてしまいます。そのため、どのようなノイズが宇宙から来るのか調べていたのです。
調査を進めるうちに二人はアンテナが常にごく小さなノイズを拾ってしまうことに悩みました。
アンテナを掃除しても、回路をチェックしてもこのノイズは消えません。
やがて二人は、微弱なノイズは宇宙からから来ていると考えるようになり、天文学を研究するディッケを訪れます。
二人の話を聞いて腰を抜かしたのはディッケでした。
元々ディッケは宇宙の誕生について研究しており、宇宙背景放射を検出するための実験を始めようとしていたところだったのです。
ディッケの勧めでアルノ・ぺンジアスとロバート・ウィルソンは、この結果をアストロフィジカルジャーナル誌に報告し、宇宙背景放射の発見が知られるようになったのです。
それでは宇宙背景放射がなぜ、ビッグバンの証拠になるのか説明しましょう。
物体は温度に応じた波長の電磁波を放射します。宇宙背景放射の波長は3K(約マイナス270度)に相当します。
ビッグバンが本当にあったのなら、最初は高密度で不透明だった宇宙が、あるとき突然透明になったはずです(宇宙の晴れ上がり)。
晴れ上がった瞬間の光は、そのとき以来何にも邪魔されず、今も宇宙を飛び交っていることでしょう。
そしてその光は、その時の温度に相当する波長を持っていたはずです。
ところが宇宙が膨張しているので、赤方偏移で波長が伸び現在では3 Kになることが理論的な計算によって導かれます。
宇宙背景放射はビッグバンの有力な証拠だったのです。
ゆらぎ
当初、宇宙背景放射はまったく均一と考えられていました。
ところが、探査衛星[COBE:コービー]の精密な観測によって、宇宙背景放射に10万分の1程度の「ゆらぎ」があることが判明しました。「ゆらぎ」とは「ムラ」「マダラ模様」のことだと考えてください。
銀河、銀河団といった宇宙の構造が成り立つためには、宇宙の初期に「ゆらぎ」があったはずです。
物質が多い場所は重力が強いので物質を集めます。するとさらに重力が強くなるのでさらに物質が集まります。
このような物質の集まりが銀河や銀河団の種になりました。
COBEが「ゆらぎ」を発見したことによって、ビッグバンの理論が補強されたのでした。
元素の比率
ヘリウム4、ヘリウム3、重水素、リチウム7、水素の存在比率は、ビッグバン宇宙の理論モデルによって計算で導き出すことができます。
実際に宇宙を観測してみると、これらの存在比率は計算値と一致していることが分かります。
このことから、ビッグバンの理論が正しいことがうかがえます。
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参考文献・サイト
Black Holes FAQ
Q & A: Black Holes
2012/07/31