ビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A
ビッグバンの前には何があったの?(インフレーションの話)
宇宙はビッグバンから始まったと言われますが、厳密には誤りです。
ビッグバンは宇宙誕生後の10-34秒後に起こりました。
ここではビッグバン以前の宇宙の極めて短い歴史を解説します。
宇宙は、時間も空間もない無から、ゆらぎによって誕生しました。
以前、宇宙は無限に小さい一点から始まったと思われていました。
無限に小さい点は特異点と呼ばれ、エネルギーが無限大になりすべての物理法則が破たんしてしまいます。
一般相対性理論に忠実に従うなら、宇宙は特異点から始まることがペンローズとホーキングによって証明されていました。
物理法則が成り立たない点から、物理法則に支配された宇宙が誕生するとうのは矛盾を含んでいます。
これに対してロシアのビレンケンは量子論を取り入れることで、特異点を必要とせずに宇宙が誕生することを明らかにしました。
ビレンケンの理論では、宇宙は突如として有限のサイズで誕生したと考えたのです。
後にホーキングがこれを発展させ、宇宙は虚時間から始まったとしました。
誕生直後の宇宙は、物質のない空間だけの世界でした。ところが、ビッグバンの直前の極めて短い時間に宇宙が急膨張を起こします。
この現象がインフレーションです。インフレーションは宇宙が生まれて10-36秒後に始まりました。
この時に宇宙のサイズは数百桁も巨大になったのです。
インフレーションのとき、宇宙には物質はありません。
インフレーションを終えたとき、真空が相転移を起こし、大量の熱が放出され物質が生まれました。これがビッグバンです。
相転移は日常的な現象です。固体、液体、気体を相といい、相が変化する現象が相転移です。
例えば氷(固体)が水(液体)になり、水蒸気(気体)に変化する現象が相転移です。
水が氷に変化するとき、水は余分なエネルギー(熱)を放出して氷になります。
真空もこれと同じように相転移で余分なエネルギーを放出します。
この放出されたエネルギーを受けてインフレーションが起こりました。
インフレーションが終わるときにエネルギーが熱に変化しました。これがビッグバンの正体です。
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参考文献・サイト
Black Holes FAQ
Q & A: Black Holes
2012/07/31