火星の生命探査の歴史を語る。
探査機以前
望遠鏡による火星観測が可能になると、自転周期がほぼ24時間であることや四季の変化があることから、火星が地球に似ているという認識が生まれた。
明るい地形が陸地、暗いエリアは海と思われ、季節による色の変化は植物によるものと考えられた。
やがて、火星表面にスジ状の構造が確認されると、これは火星に住む知的生物が建造した運河であるとする説まで登場した。
1965年
7月:マリナー4号が火星フライバイ
生物の存在を打ち砕いたのはマリナー4号であった。
マリナー4号が撮影した火星の表面には、生物のいない荒涼とした砂漠が広がっていた。
マリナー4号
出展:Mariner 4 to Mars
同時にマリナー4号は火星には磁場が存在しないこと、気圧が6ヘクトパスカルであることを発見した。
磁場は生命にとって有害な紫外線を遮断する。
その磁場がないということは、火星の大地は紫外線にモロに受けていることになる。
加えて気圧が低ければ液体の水は存在できない。
まさに生物が存在できない世界であったのだ。
1969年
8月:マリナー6号、7号が火星フライバイ
マリナー6号、7号が火星の赤道から南極にかけてフライバイした。
この探査によって、火星の全体の20%が撮影された。
1971年
11月14日:マリナー9号が火星周回軌道に到達
他の惑星の周回軌道に投入された最初の人工天体となったのは、マリナー9号であった。
マリナー9号
出展:NSSDC Mariner 9
周回軌道上からの、約350日近い火星探査によって7000ショット以上の画像が得られた。
これによって、火星全土の80%がカバーされた。
1971年
11月:マルス2号、3号が火星周回軌道に到達
マリナー9号が火星周回軌道に到達した、わずか数日後、ソビエト(当時)のマルス2号、3号が火星周回軌道に到達した。
マルス2号、3号はそれぞれランダーを切り離したが、両者とも通信が途絶した。
1976年
7月:バイキング1号ランダー、軟着陸
火星は高等な生物にとっては厳しい環境であっても、バクテリアのような生命体であれば火星にいるかもしれないという期待が残った。
バイキング計画では、探査機を火星表面に着陸させ火星の土壌をサンプリングして、生命の反応を実験した。
この中で、土壌に栄養素と水を与えたところ、二酸化炭素の生成が確認されたた。
これが生命反応であるのか、他の化学反応であるのかは、今もって議論されている。
9月:バイキング2号ランダー、軟着陸
1996年
8月:火星からの隕石に生物の痕跡発見
NASAの研究者(デイヴィッド・マッケイ博士)が、火星起源の隕石ALH84001[アラン・ヒルズ84001]に生物の痕跡らしき形状を確認したと発表(サイエンス誌)した。
ALH84001
出展:NASA:ARES
電子顕微鏡による写真には、糸状の生物を連想させる特徴が映し出されている。
この形状は、直径20ナノメートルから100ナノメートルであり、火星に存在した極小細菌の一種であるという仮説が示された。
2000年
12月:火星からの隕石にバクテリアが生成する結晶確認
ALH84001の磁鉄鉱の特殊な結晶は、地球に生息するバクテリア(MV-1)が体内で生成するものと酷似していると発表した。
http://spaceflightnow.com/news/n0012/14marslife/
2002年
5月28日:地下の氷の発見
2001マーズオデッセイが、ガンマ線、中性子線を用いて、地表下3メートル以内に大量の氷があることを発見した。
2001マーズオデッセイ
出展:JPL
2003年
火星にメタンの存在確認
チリのジェミニ天文台、ハワイのUK赤外線望遠鏡が火星の大気にメタンを確認した。
2004年
3月:水の痕跡
オポチュニティが水の痕跡を発見した。
3月:メタン
マーズエクスプレスが火星大気中にメタンを発見した。
5月:ALH84001の反証
ALH84001の磁鉄鉱の特殊な結晶は、非生物的なプロセスでも生成可能という論文が発表された。
2005年
2月:火星でホルムアルデヒド発見
マーズエクスプレスが火星大気中にホルムアルデヒドを発見した。
2006年
12月:数年前の水流を発見
マーズグローバルサーベイヤーが数年前の水流の跡を発見した。
2007年
3月:南極の氷を発見
マーズエクスプレスが南極の氷を発見した。
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参考文献・サイト
NASA:Mars Exploration Program
NASA:Explor Mars
2007/05/19