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金星の雷を語る。

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金星の雷論争

金星に雷は存在するのか? しないのか?
この論争は、1978年のベネラ11号に端を発する。



ベネラ11号はソビエト(当時)の金星探査機で1978年12月25日に着陸した。
このベネラ11号が、着陸直後に稲妻を検出しているのだ。
後続のベネラ12号も稲妻を確認し、雷鳴まで録音したのである。



ソビエトの発表は賛否両論に分かれた。
地球上での雷は、大気中の水分が関係している。
一方で高温のためカラカラに乾燥した金星の大気で雷は考えにくいというのが、否定派の論拠だった。


金星の雷の想像図
金星の雷の想像図
出展:ESA:Venus and Earth: worlds apart

一方で肯定派は火山活動を持ち出した。

金星には火山の地形が多く存在する。

活火山から噴出した火山灰が、雷を誘発したというのだ。

ただし、金星の活火山は、未だ確認されていない。
(2015年5月現在)



金星の大気中に漂う硫酸の雲粒が帯電し、雷の原因になっているという仮説もある。



この金星の雷論争は、約30年間に渡って繰り返されている。
その原因の一つが決定的な映像が得られていないことにある。

金星の雷を検出するのは困難

金星の雷の動かぬ証拠をつかむのは非常に難しい。
探査機が電波観測で雷の放電を捉えたとしても、そのデータが雷放電によるものなのか、電磁的なノイズによるものなのかを区別することはむずかしい。



放電から雷を見分けるのが難しいなら、発光の瞬間を撮影すればいい。
地球の雷の場合、雷の放電の持続時間は1ミリ秒以下だ。



つまり、雷の発光を撮影するなら、1秒当たり1万コマ以上のスピードが必要となる。
ところが、探査機に搭載したカメラが、このようなスピードで撮影したらデータがあふれてしまうので現実的でない。
結局、雷の放電の瞬間を撮影することもできないのだ。



ここで登場するのが、日本の金星探査機あかつきが搭載しているLAC(雷・大気光カメラ)だ。
発光を検出すると、発光している間だけ撮影してデータを記録する。
これなら、データが膨大となることもない。



将来の金星有人探査

NASAは金星有人探査を構想している。
金星の大気中に飛行船を浮かべて探査を行うのである。このコンセプトがHAVOCだ。
金星の雷を目視で観測できるかもしれない。

これはNASAが公開したHAVOCのプロモーションである。

出典:YouTube A way to explore Venus

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参考文献・サイト

ISAS:金星雷論争 / 内惑星探訪
ISAS:雷・大気光カメラ(LAC)で金星雷の有無に決着をつける
NASA:Venera 11
ESA:Venus and Earth: worlds apart
HAVOC

2010/01/23
2015/05/18



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