アクロマートとアポクロマートを語る。
色収差とは
太陽光をプリズムに通すと光が屈折する。
光は色ごと(波長ごと)に屈折率が異なるので、プリズムを通過した太陽光は色ごとに分かれて虹の模様が現れる。
これは太陽光に限らず、(太陽以外の)恒星の光であっても同様である。
光は色ごとに(波長ごとに)屈折率が異なる。
このため、プリズムに入るときと出るときで、2度、色が分かれるのである。
凸レンズの端部はプリズムと形が似ている。
このため、凸レンズの端部を通過した光は色ごとに分かれてしまい、各色で異なった焦点を結ぶ。
焦点は一点にならないのだ。
色ごとに焦点が異なると、すべての色で同時にピントを合わせることができない。
赤にピントを合わせれば、赤以外の色がピンボケになってしまう。
青に合わせれば、青以外の色がピンボケになってしまう。
このような対物レンズで作られた像を見ると、周囲に赤や青の色がにじみ出た像になる。
ピントからずれた色が、焦点像の周囲にはみ出すのだ。
像が正しく見えない現象を収差という。
この場合は色が正しくないので色収差という。
色収差と色消しレンズ
色収差は天体観測にとって邪魔になる。
そこで、色収差を軽減するために複数のレンズを組み合わせる方法が考え出された。
2枚のレンズを組み合わせたものをアクロマート、3枚のレンズを組み合わせたものをアポクロマートという。
アポクロマートはアクロマートより性能が優れているが、その分高価である。
アポクロマートやアクロマートを色消しレンズという場合もある。
これは、色収差を除去するという意味であって、像がモノクロになるということではない。
アクロマート
アクロマートは、二つのレンズを組み合わせることによって、色ごとに異なった焦点位置を一致させ色収差を軽減するレンズだ。
すべての色の焦点位置を完全に一致させることはできない。
そこで、特に目立つ赤と青の焦点位置を一致させることにした。
これがアクロマートである。
アクロマートは、材質の異なる2種類のレンズを組み合わせている。
材質が異なることは、屈折率が異なることを意味する。
赤と青の焦点位置を一致させるために、屈折率をコントロールするのである。
このような考え方から、アクロマートは、クラウンガラスの凸レンズとフリントガラスの凹レンズを組み合わせている。
アクロマートによって、赤と青は一致するが、それ以外の色はノーマークだ。
色収差は低減するが、完全には除去されない。
アポクロマート
アポクロマートは3枚のレンズを組み合わせて青、赤、緑の焦点を一致させるレンズである。
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参考文献・サイト
2008/03/19