反射式望遠鏡
反射式望遠鏡のしくみ
一般に鏡は平面だ。
平面でなければ、像がゆがんで見えるので鏡として役に立たないからだ。
一方で、中央部を意図的に凹曲面(へこんだ面)にした鏡もある。
これを凹面鏡という。
平面の鏡では、光を一点に集めることができないが、凹面鏡では集めることが可能だ。
光が集まる一点を焦点という。
屈折式望遠鏡は、対物レンズを使用して焦点をつくる。
反射式望遠鏡は、対物レンズではなく、凹面鏡を使用して焦点を得る。
この凹面鏡を主鏡、または対物鏡という。
反射式望遠鏡は、主鏡が作った焦点の像を、接眼レンズで拡大する。
接眼レンズは焦点を拡大する虫メガネとしての役割を持っているのだ。
つまり、反射式望遠鏡と屈折式望遠鏡では、焦点を作るしくみが違うのだ。
望遠鏡の種類 | しくみ |
屈折式望遠鏡 | 対物レンズが作った焦点の像を、接眼レンズで拡大する |
反射式望遠鏡 | 主鏡が作った焦点の像を、接眼レンズで拡大する |
望遠鏡は筒の端部から覗くイメージはあるが、反射望遠鏡は横から覗く。
反射望遠鏡の鏡筒の入り口付近には、斜鏡が取り付けられている。
主鏡で反射された光は、斜鏡で直角に折り曲げられて筒から垂直に出る。
つまり、反射望遠鏡は、主鏡、斜鏡、接眼レンズの組み合わせで構成されているのだ。
このような構造の反射望遠鏡を特にニュートン式望遠鏡という。
主鏡は交換できない。
しかし、接眼レンズは観測中に交換できるようになっている。
このような接眼レンズをアイピースという。
倍率は、接眼レンズ(アイピース)を交換して、切り替えるのだ。
アイピースの規格はいくつかありますが、各社共通で使用可能だ。
さらに、反射式望遠鏡も屈折式望遠鏡も共通で使用できる。
焦点距離f
主鏡の中心から焦点までの長さを焦点距離という。
一般に焦点距離は「f」で表す。
天体望遠鏡の鏡筒を見て、「f=1000」と書かれていたら、その天体望遠鏡の焦点距離は1000mm(100cm)ということである。
倍率の計算方法は、反射式望遠鏡も屈折式望遠鏡も同じである。
焦点距離を、接眼レンズの焦点距離で割った値が、天体望遠鏡の倍率となる。
焦点距離:1000mmの天体望遠鏡に、焦点距離:20mmの接眼レンズを使用すると、50倍(1000mm÷20mm=50)になる。
より高い倍率を出すためには、より焦点距離の長い主鏡が必要だ。
しかし、主鏡の焦点距離が長くなると、像が暗くなる。
また、低倍率が得にくくなるので、目標の天体を視野内に導入しにくくなる。
口径比F(F値)
焦点距離が長いと像が暗くなる。像の明るさの度合いを示す値が口径比だ。口径比はFで表す。
F値の計算方法は、反射式望遠鏡も屈折式望遠鏡も同じである。
焦点距離fを口径Dで割った値が、口径比Fです。F値ともいう。
口径:100mm(10cm)、焦点距離:1000mmの対物レンズの場合、口径比は、F=10(1000mm÷100mm=10)になる。
口径が同じでも、F値が異なれば、望遠鏡の特性も変わってくる。
この傾向は反射式望遠鏡も屈折式望遠鏡も同じだ。
F値 | 大きい | 小さい |
焦点距離 | 長い | 短い |
高倍率 | 得やすい | 得にくい |
低倍率 | 得にくい | 得やすい |
像の明るさ | 暗い | 明るい |
周辺部の収差 | 目立たない | 目立つ |
視野の広さ | 狭い | 広い |
繰り返しになりますが、分解能を超えた倍率では像がぼやけてしまう。
分解能よりも細かい部分は拡大できないからである。。
口径の2倍程度が出せる倍率の限界となる。
口径60ミリの望遠鏡であれば、120倍程度が限界なのだ。
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参考文献・サイト
吉田 正太郎「天文アマチュアのための反射望遠鏡光学入門」誠文堂新光社,2005
2010/04/25