電離層を語る。
電離層とは
高空にある電気を帯びた空気の層を電離層という。
電離層は、地上に近い側からD層、E層、F1層、F2層の4つの層がある。
電離層の構造
電離層は、電波を反射したり吸収したりする性質がある。
夜間にAMラジオが聞きやすいのは電離層の影響だ。
電離層は太陽の影響で出現する。
このため、昼間と夜間では、電離層の様子は異なっている。
電離層はなぜできるのか?
太陽はエネルギーの高い電磁波(紫外線、X線、ガンマ線)を放っている。
これら電磁波が熱圏内に入ると、気体の原子を電子とイオンに電離する。
電離された気体はプラズマ(電離ガス)の層を形成する。
これが電離層だ。
電離層は電波を吸収・反射する性質を持つ。
この性質によって電離層はD層、E層、F層に分かれている。
電離層は太陽のない夜間も存在する。
それは宇宙線の影響で大気が電離するからだ。
しかし、昼間と夜とでは電離層の様子も大きく異なっている。
電離層の昼と夜の違い
夜間、D層は消滅し、F1層とF2層はF層に統合される。
電離層の特徴と性質
太陽からの電磁波は高空ほど強い。
従って、高空ほど気体分子は電離されやすいことになる。
しかし高空は気体の密度が低い(空気が薄い)ため、電離ガスがあまり作られない。
反対に高度が低いと、電磁波が通過してくる距離が長くなるため、電磁波の強度が弱くなる。
さらに、気体分子を電離できたとしても、密度が高い(気体分子が混みあっている)ため、電子とイオンはすぐに再結合してしまう。
このため、低空では気体の電離を維持することができないのだ。
その結果、地上80kmから500kmの範囲の気体分子が、ちょうどよく電離された状態になる。
熱圏内の気体分子(窒素や酸素)子は、太陽からの放射線や宇宙線を受けて電離する。
このため、熱圏には電子密度の高い状態の領域が層状に存在することになる。
これが電離層である。
地上80kmから500kmの範囲の気体分子がすべて均一に電離されているわけではない。
大気中には、酸素分子、窒素分子など様々な成分がある。
これら成分の分布は高度によって異なっている。
成分ごとに電離のされ方が違っているので、性質の異なる3つの電離層が作られる。
D層、E層、F層だ。
最も下層の電離層がD層、中央がE層、上層がF層である。
電離層は太陽の影響で形成される。
従って、夜と昼では電離層の様子は大きく異なる。
例えば、F層は昼間はF1層、F2層に分離しているが、夜間にF層として一つになる。
また11年の周期の太陽活動サイクルにも影響を受ける。
電離層と電波
短波は、低層のD層を楽々と通過するが、高層のF層では反射される。
このため、短波による通信は放送は長距離に届く。
長波はD層で反射するので、遠方へはとどかない。
長波 | 中波 | 短波 | UHF | |
D層 | 反射 | 減衰 | 通過 | 通過 |
E層 | 反射 | 反射 | 通過 | 通過 |
F層 | 反射 | 反射 | 反射 | 通過 |
デリンジャー現象
電離層の異常が原因で通信障害が発生する現象をデリンジャー現象という。
太陽フレアによって放たれた放射線(ガンマ線、紫外線等)が電離層に作用し、デリンジャー現象が起こる場合が多い。
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スポラディックE層
太陽活動の影響を受けて、突発して発生する電離層をスポラディックE層という。
地上約100kmに出現するが、局地的である。
HAARP/高周波活性オーロラ調査プログラム
電離層の挙動や、それに伴う無線通信への影響を調査するために、大出力・高周波の電磁波を電離層に照射する実験プロジェクトがHAARPである。
HAARPは「ハープ」と読む。
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参考文献・サイト
電磁波計測研究センター/電波伝搬障害研究プロジェクト
NOAA:Space Weather Prediction Center
NOAA:The Ionosphere
Introduction to the Ionosphere
HAARP
ラジオの遠距離受信のテクニック
2008/08/19
2009/12/26