太陽フレアを語る。
太陽フレアとは
太陽はいつも変化なく輝いているように見えるが、実際は違う。
時として、太陽の表面で爆発が発生する。
太陽の表面で発生する爆発をフレア、または太陽フレアという。
フレアは主に太陽黒点の周囲で発生し、小規模なもので数時間、大規模なものでは数日間継続する。
太陽フレア
出展:NASA:Solar Physics
太陽フレアは高速の電子、陽子、イオンを解き放ち、同時に広い周波数の範囲の電磁波を放射する。
放射される電磁波には、可視光線・ラジオ波、X線、ガンマ線が含まれる。
太陽フレアの性質
太陽フレアの周期
太陽フレアは、いつもマイペースで発生しているのではない。
活発に発生する時期と、おとなしい時期がある。
太陽フレアの発生には周期性があるのだ。
この周期は11年のサイクルで繰り返される。
11年周期の太陽活動の極大期では、フレアだけでなく、CMEや太陽黒点も活発になる。
これを太陽活動周期という。
太陽フレアの強度
太陽フレアを観測するために、太陽フレアの強度の指標が設定されている。
太陽フレアは、地球近傍に到達するエックス線の強度によって、A、B、C、M、Xの5段階にクラス分けされる。
太陽フレアは様々な波長の電磁波を放射するが、クラス分けはエックス線だけで判定するのである。
各クラスは、さらに1〜9の番号で再分割されている。
例えば、A4クラスのフレアは、A2のフレアの2倍の強度を持つ。
フレアの強度が10倍になると、フレアのクラスも1段階アップする。
C1クラスのフレアは、B1のフレアの10倍の強度を持つ。
Xを超えるクラスは設定されていない。
このため、Xのクラスでは10以上の数字も使用する。
X1の10倍のフレアはX10、25倍のフレアはX25になる。
フレアの強度はGOES衛星によって測定される。
GOES衛星が0.01mW/m2のX線を検出した場合、そのフレアはM1と判定される。
1mW/m2のX線なら、そのフレアはX10だ。
2003年11月の最大級のフレアが観測された。
GOES衛星の容量を超えたフレアであったので、正確な強度は分かっていない。
X40〜X45程度であったらしい。
近代になってからの最大の太陽フレアは、太陽の観測記録から、1859年に発生したと考えられている。
太陽フレアの影響
太陽フレアが発生すると、電磁波の他に高エネルギー荷電粒子が惑星間空間に放出される。
これをコロナ質量放出、またはCMEという。
これらが地球に到達すると、電離層がかく乱され、無線通信が途絶する。
この現象がデリンジャー現象だ。
さらにフレアの影響で大規模な磁気嵐が発生すると、送電線に誘導電流が流れるため、送電システムに悪影響が出る場合がある。
これをGICという。
2006年12月のフレアではGPSにも影響が出た。
太陽フレアの影響は、宇宙空間ではさらに深刻だ。
人工衛星に搭載された電子機器を損傷させ、船外活動を行う宇宙飛行士も危険にさらされるからである。
このようなことから、フレアを観測し、CME(コロナ質量放出)の地球到達や磁気嵐の発生の予報が重要になってきた。
このような活動を宇宙天気予報(スペースウェザー)という。
他の恒星のフレア
フレアは太陽のみならず、恒星全般の現象である。
太陽で発生するフレアをソーラーフレア[solar flare]、他の恒星で発生するフレアをステラフレア[stellar flare]と区分する。
特に赤色矮星の多くは、フレアを激しく発生させる。
このような赤色矮星を閃光星という。
最近では、褐色矮星もフレアを発することが分かっている。
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参考文献・サイト
Solar Physics
Solar Radio Bursts Could Cripple GPS
2008/03/20