コロナ質量放出を語る。
コロナ質量放出とは
コロナ質量放出とは、太陽のコロナから大量の物質が一気に放出される現象をいう。
CME[Coronal Mass Ejection]と略される場合もある。
コロナ質量放出の様子は、コロナグラフによって観測することができる。
CMEのほとんどは、電子と陽子からなるプラズマであるが、ヘリウムや酸素の原子が含まれることもある。
CMEは単独でも発生するが、フレアを伴うケースも多い。
コロナグラフで見たCME
出展:NASA:Solar Physics
また、放出され惑星間空間に広がったものを惑星間CME[Interplanetary CME:ICME]と呼ぶ。
コロナ質量放出の特徴
太陽は約11年の周期で活動する。
これを太陽活動周期、またはソーラーサイクルという。
黒点や太陽フレアは、1太陽活動周期に追従して増減するのである。
コロナ質量放出(CME)も太陽活動周期に連動する。
太陽活動の極小期には、コロナ質量放出が1日に1回程度発生する。
これが極大期になると、CMEは1日あたり5〜6回程度発生する。
これは、地球から観測した結果だ。
コロナ質量放出は当然、地球から見て太陽の反対側でも発生しているので、実際はこの倍の頻度と考えていいだろう。
このようなCMEが地球に到達するとタダではすまない。
電波による通信が途絶したり、人工衛星がダメージを受ける。
宇宙飛行士の船外活動などは、危険極まりない。
コロナ質量放出が地球に到達すると磁気嵐が発生する。
オーロラの見栄えが良くなるので、観光産業は繁盛するかもしれないが、多くはデメリットが大きい。
太陽を常時監視し、コロナ質量放出(CME)が確認されたらただちに警報する必要がある。
CMEの地球到達には1〜5日程度要するので、その間に対策を講じるのだ。
このような活動を宇宙天気予報(スペースウエザー)という。
太陽観測衛星SOHOによると、CMEの平均速度は489km/sと測定された。
遅いものは200km/s、速いものは2700km/sである。
ICMEは移動するうちに、太陽風からの影響を受けるため太陽風と同等のスピードにならされていくという。
CMEの発生メカニズムは不明な点が多い。
STEREOは、離れた2点から太陽を立体視するため、CMEの3D画像を得ることができる。
これにより、コロナ質量放出(CME)の研究が前進することが期待されている。
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参考文献・サイト
2009/11/29