ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

太陽風を語る。

トップページ太陽系の目次太陽太陽風

太陽風とは

電気を帯びた粒子の流れ:太陽風

太陽風というが太陽から気流が出ているのではない。



太陽電磁波の形で光と熱を放っている。
ところが、光と熱の他に太陽が放っているものがある。
それは電荷を帯びた粒子(荷電粒子)だ。



太陽が常に放出している荷電粒子の流れを太陽風と呼ぶ。
水素イオン、ヘリウムイオンが太陽風の質量の98%を占めている。



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太陽風の特性

太陽風のスピードは速く、地球近くでは450km/sである。
太陽の重力を振り切って粒子を加速させるメカニズムは解明されていない。
コロナの熱伝導と強力な磁場の作用で、コロナ中の粒子が加速するのではないかと考えられている。



遠方にいる彗星には、尾がない。
彗星太陽に接近すると、熱でガスが揮発する。

これに太陽風が吹きあたるので、揮発したガスが流されて尾になるのだ。
従って彗星の尾は、太陽と反対の方向へと伸びることになる。



太陽は1秒間に109kgの物質を太陽風として放出している。
これは、太陽が核融合反応で1秒間にエネルギーに変換する物質の量の5分の1に相当する。
惑星間空間は、太陽風で満ち溢れているのだ。




太陽風とオーロラ

これだけの太陽風がありながら、太陽風は地上には到達しない。
地球の磁場が太陽風の進路を曲げるからだ。
カーブした太陽風は、複雑な経路を通り夜側に集中する。
これがプラズマシートだ。



プラズマシートに溜まった荷電粒子が高速で大気に突入して、大気が発光する現象がオーロラである。
磁気と大気を持っていれば、オーロラは他の天体でも発生する。
金星火星は大気はあるが、磁気を持たないためオーロラは生じない。




太陽風の種類

太陽風は太陽全体から全方向に向けて均等に放出されているのではない。
主に赤道近辺とコロナホールから放出される。



赤道近辺から放出される太陽風を低速太陽風、コロナホールから放出される太陽風を高速太陽風という。



赤道近辺のコロナは、外側に向かって伸びている。
低速太陽風はここから放出されるのだ。
そのため、低速太陽風の成分はコロナと同等である。



コロナを次々と噴出している領域をコロナホールという。
もともとコロナがないように見えるが、コロナの放出が速いのだ。



つまり、コロナホールは太陽風をより強く吹き出す領域でもある。
ここから、放出される太陽風が高速太陽風である。
高速太陽風の成分は光球面と同等である。



低速太陽風は高速太陽風の2倍程度の密度を持っている。




太陽圏界面

太陽を離れた太陽風は、太陽系内を広がっていく。
やがて、恒星間物質と衝突し、押し返される領域に到達する。
この領域を太陽圏界面という。



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太陽風と宇宙天気予報

太陽風が多くなるとオーロラは見事になる。
しかし、デメリットの方が大きい。
地球磁場が変化し、その影響で地上の通信が途絶したり、電子機器に誤動作が生じる。



さらに深刻なのは宇宙空間だ。
地磁気の保護がないため、人工衛星は太陽風の直撃をモロに受ける。
健康への影響もあるので、宇宙飛行士は船外活動が不可能になるのだ。



このため、太陽風の動向をモニターし影響を低減する活動をスペースウェザー(宇宙天気予報)という。



太陽風は電荷を帯びているので、磁力線を通しやすい。
このため、太陽風は太陽から出た磁力線を包んだまま太陽から遠く離れた場所まで広がっていく。



太陽の磁力線は太陽風によって押し広げられているのである。
このようにして広がった太陽の磁場が惑星間空間磁場[IMF]という。



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太陽風の発見の歴史

太陽風は目に見えない。
だから、望遠鏡を向けても太陽風の存在は分からない。
太陽風は、1962年になってから発見されたのである。



彗星の尾が太陽と反対の方向へと伸びることを調査したビヤマンは、太陽は光の他に何か別のものを放出していると発表した。
その後、パーカーが「何か別のもの」は荷電粒子であることを理論的に予測し「太陽風」と命名した。
1958年のことである。


金星に向かう途中のマリナー2号は、太陽から放出された荷電粒子を捉え、太陽風の実在が確認されたのである。



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太陽風と恒星風

太陽風は、他の恒星でも見られる現象である。
その場合は、太陽風と呼ばずに恒星風という。
赤色巨星の表面は重力が弱いため、簡単にガスが流出する。
このため、赤色巨星の恒星風は強い。



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太陽風のFAQ

太陽風とは何ですか?

太陽から吹き出す高温のプラズマです。
太陽風といっても空気の風ではありません。



太陽風は地球にどのような影響を与えますか?

地上の通信が途絶したり、電子機器に誤動作が生じます。オーロラも出現します。
人工衛星もダメージを受ける危険があります。



太陽風の関連ネタ

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参考文献・サイト

Solar Physics
Solar Wind Origin in Coronal Funnels
国立天文台 アストロ・トピックス (373)
ISAS:「ひので」で見えてきた太陽風の源

2008/09/16



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