天体望遠鏡の用語集
英数字
CCD
電荷結合素子の略。光を電気に変えて撮影する部品。
D
有効径のこと。通常mm(ミリメートル)で表す。「D=120」であれば「有効径は120mm」である。
EDレンズ
主に対物レンズに使用される高級レンズをEDレンズという。光は波長ごとに屈折率が異なる。これを分散という。
分散の少ないガラス素材を使用することによって、像をシャープにする。低分散ガラスともいう。
f
焦点距離のこと。通常mm(ミリメートル)で表す。「f=900」であれば「焦点距離は900mm」である。
F値
焦点距離を有効径で割った値。値が小さいほど、視野は明るく視界は広い。
RTF
リッチ・フィールド・テレスコープの略。一般に、短焦点で広視界の望遠鏡を指す。
ア行
アイピース
接眼レンズは小さな筒状の部品に組み込まれている。
この筒状の部品をアイピースという。
天体望遠鏡はアイピースを交換することによって、倍率を切り替える。[..詳しく見る..]
アクロマート
凸レンズ周辺部はプリズムとしても振舞う。
このため色によって焦点位置がずれるので、像の色がにじんでしまう。
この現象を色収差という。
性質の異なる2枚の光学ガラスを組み合わせることで、色収差を低減したレンズをアクロマートという。
アポクロマート
アクロマートよりもさらに色収差を低減したレンズをアポクロマートという。
アポクロマートは、性質の異なる3枚の光学ガラスを組み合わせることで、色収差を低減している。
アクロマートよりも1枚多いのだ。
色収差
レンズの持つ収差の一つ。
エクステンダー
焦点距離を延長する部品。焦点距離が2倍になると倍率は2倍になり、F値半分になる。
つまり、明るさや広い視野と引き換えに、高い倍率を得る部品である。
凹面鏡
表面が凹状になっている鏡を凹面鏡という。
凹面鏡に入射した平行光線は、鏡面で反射し焦点を結ぶ。
凹面鏡は反射望遠鏡の主鏡として使用される。
凹レンズ
表面が凹状になっているレンズを凹レンズという。
凹レンズを通過した光は発散する。
凹レンズは双眼鏡の接眼レンズに使用される。
カ行
架台
鏡筒を載せて固定し、鏡筒の方向を変える装置。
赤道儀式と経緯儀式がある。
極限等級
望遠鏡の性能の一つで、観測可能な最も暗い星の明るさを極限等級という。極限等級は数字が大きいほど、よりくらい星が見えることを意味する。有効径が大きいほど、集光力が高いので、極限等級は大きくなる。
極軸
赤道儀式の架台で、地球の自転軸と平行に設置する軸を極軸という。
極軸望遠鏡
極軸を地球の自転軸と平行に設置するために使用する道具。
屈折望遠鏡
天体からの光を集めるために凸レンズを使用している天体望遠鏡を屈折式望遠鏡という。 [..詳しく見る..]
クラウンガラス
レンズに使用するガラスの種類。アクロマートに使用される。
グレゴリオ式望遠鏡
経緯台
鏡筒を上下方向、左右方向に移動させる架台
ケプラー式望遠鏡
口径
コーティング
レンズの表面で反射が起こると、光量を損してしまう。反射を防止しより多くの光をレンズに通過させるため、レンズの表面に樹脂製の膜を設ける。これをコーティングという。
コマ収差
視野周辺部の星像が点結像せず、尾を引いたようになる。彗星のコマに似ていることからコマ収差と呼ぶ。
コロナグラフ
太陽の光球の周囲にはコロナがあるが、光球の光が強烈なため、通常はコロナを観測することができない。
光球の光に邪魔されることなく、太陽のコロナが常時観測可能な望遠鏡をコロナグラフという。
サ行
サンブラス
太陽を観察するときに、アイピースに装着する減光フィルターをサングラスという。
太陽を直接望遠鏡で眼視観測すると失明する。
サンブラスは非常に色の濃いフィルターであるため、太陽を眼視観測するときに使用する。
ただし、長時間の太陽観測によってサンブラスが熱で割れる恐れがある。
サンブラスを装着していても、口径を絞ると同時に、10分以上太陽に望遠鏡を向けてはならない。
シーイング
川底の石を見ると、川の流れの影響でユラユラと見える。
同様に望遠鏡で見た像も、大気の影響で、ユラユラ揺れる。
この現象をシーイングいう。
実視界
天体望遠鏡によって、空の一部分がクローズアップされる。
クローズアップされている部分の大きさを実視界という。
実視界は角度で表現する。
収差
レンズ固有の性質によって生じる像のにじみ・色づき・ボケ・ゆがみを総称して収差という。
主鏡
集光力
天体望遠鏡の性能の一つ。肉眼に比較して、どれだけ多くの光を集められるかを示した値。
シュミットカメラ
写真撮影用の反射望遠鏡。主鏡に球面鏡、対物側に補正レンズを使用している。
焦点距離
レンズ、または凹面鏡の中心から焦点までの長さを焦点距離という。
fで表示する場合がおおい。「f=1200」と表示されていたら「焦点距離は1200mm」という意味である。
星図
恒星の配置を示した図。誠文堂新光社の全天恒星図2000が入手しやすい。
星表
恒星の配置や特性をまとめた表
赤緯軸
赤道儀式の架台で、極軸と垂直な軸
赤道儀
地球の自転軸に平行な極軸と、垂直な赤緯軸を持つ架台。
日周運動に合わせて、鏡筒を動かすことができる。
接眼鏡
接眼レンズのことを接眼鏡という場合がある。
接眼レンズはレンズであって、鏡ではない。[..詳しく見る..]
接眼レンズ
望遠鏡で目視する側のレンズを接眼レンズという。
また、接眼レンズを含む交換可能な筒状の部品をアイピースという。
望遠鏡の倍率はアイピースを交換することによって切り替えることが可能だ。アイピースそのものを接眼レンズという場合もある。[..詳しく見る..]
タ行
対物鏡
反射望遠鏡で、天体からの光を集めるための凹面鏡。 鏡筒の底部にある。
対物レンズ
屈折望遠鏡で、天体に向け光を集めるためのレンズ。 鏡筒の先頭にある。
太陽投影板
太陽像を投影するための部品。
単色光
光は様々な色の光から構成されている。一つの色しか持たない光を単色光という。
筒内気流
反射望遠鏡内で発生する気流の移動
天体望遠鏡
天体望遠鏡とは天体を観察するための機材である。
光学系による違いによって屈折式望遠鏡と反射望遠鏡に分けられる。
天頂プリズム
屈折望遠鏡は、鏡筒を天頂方向に向けたときに、観測者の姿勢が苦しくなる。
これを避けるために、接眼部にプリズムを付け光路を直角に曲げることにより観測姿勢が楽になる。
このプリズムを天頂プリズムという。
ドーズの限界
レンズの分解能を導き出すための経験則。 115.8″/D(口径)が分解能になる。
凸レンズ
表面が凸状になっているレンズを凸レンズという。
凸レンズを通過した光が一点に集中する場所を焦点という。
凸レンズは屈折望遠鏡の対物レンズや接眼レンズに使用される。
ナ行
ナイフエッジテスト
レンズや凹面鏡のテスト方法の一つ。
ニュートン式望遠鏡
反射望遠鏡は光学系の構成(レンズや反射鏡の組み合わせ方)によっていくつかの種類がある。 ニュートン式はその中の一つである。
ハ行
倍率
どれくらい大きく見えるかという指標。
対物レンズの焦点距離を接眼レンズの焦点距離で割った値が倍率になる。
その他、見かけ視界と実視界で割った値も倍率である。
バランスウイエト
赤道儀に使用する錘(おもり)
反射望遠鏡
凹面鏡を使用して天体の光を集める望遠鏡。[..詳しく見る..]
ビクセン
天体望遠鏡のメーカー 所在地は埼玉県所沢市東所沢
比例法
変光星の観測方法の一つ。
ファインダー
鏡筒に付属している小型・低倍率の屈折望遠鏡。
目標天体を鏡筒に導入するために使用する。
フィルター
光は様々な色の光から構成されている。 特定の光のだけを通過させる、または遮断する装置をフィルターという。
フリントガラス
レンズに使用するガラスの種類。アクロマートに使用される。
分解能
天体望遠鏡の性能の一つ。どれだけ細かい部分が見えるかを示した値。
分光器
光は様々な色の光から構成されている。 光を各色に分解する装置を分光器という。
偏光
光は進行方向と直角に振動する波である。振動する方向が1方向に偏った波を偏光という。
偏光フィルター
光は進行方向と直角に振動する波である。振動する方向から、特定の方向に振動する波にのみを通過させるフィルターを偏光フィルターという。
放物面鏡
空中に投げられた物体が描く線を放物線という。 放物線を中心軸の周囲に回転させた曲面を放物面という。 鏡面が放物面になっている凹面鏡を放物面鏡という。
マ行
見かけ視界
天体望遠鏡によって、空の一部分がクローズアップされる。
クローズアップされた結果、アイピース内に広がっている視野を見かけ視界という。
見かけ視界は角度で表現する。
天体望遠鏡は、微小な空の一部分を見かけ視界のサイズに拡大していることになる。
これに対し、クローズアップされる微小な空の一部分を実視界という。
ムーングラス
月を観察するときに、アイピースに装着する減光フィルター
目盛環
赤道儀に付属したリング状の目盛り。角度を示す。
ヤ行
有効径
対物レンズ、または対物鏡の直径のなかで、実際に光を集める部分
有効最高倍率
倍率を高くすると、像は拡大されるが暗くなる。口径で決まる分解能以上に細かいところは見えないので、倍率を上げすぎると像がぼけてしまう。
有効最高倍率とは、像がぼけず、暗すぎずに観測可能な最大の倍率を指す。
一般には口径の2倍が有効最高倍率である。
口径80mmならば、160倍が有効最高倍率である。
ラ行
レデューサー
焦点距離を短縮する部品。焦点距離が半分になると倍率は半分になり、F値は2倍になる。
つまり、明るく広い視野になる。
レンズ
ガラスやプラスチックなどの透明な固体の表面を球面にしたものをレンズという。
光を集める、または発散させることを目的にしている。
球面が凸状になっているレンズを凸レンズ、凹状になっているものを凹レンズという。
レンズの中心を通る直線を光軸という。
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参考文献・サイト
2007/07/15
2008/01/19