ジェミニ8号を語る。
ジェミニ8号とは
ジェミニ8号はジェミニ計画で行われた6回目の有人宇宙飛行ミッションである。
軌道上でのドッキングに世界で初めて成功した。
アポロ計画では、宇宙空間でのランデブーやドッキングが必要になる。この技術のテストがジェミニ8号の目的なのだ。
ジェミニ8号には、ニール・アームストロングとデビッド・スコットが搭乗し、アジェナ標的機とのドッキングに成功した。
ところが、ドッキングから27分後、予期せぬトラブルが発生した。
船体が異常なスピンを始めたのだった。
アジェナ標的機は元々トラブルの多い衛星だった。
そのため異常な回転もアジェナ標的機が原因だと思われた。
やむなくアジェナ標的機とのドッキングを解除したが、スピンはさらに激しくなったのである。
原因はアジェナ標的機ではなく、ジェミニ8号だったのだ。
毎秒1回転のスピンのため、アームストロングとスコットは失神寸前になった。
回転が速いと視野が狭まるため、コクピットでの操作が困難になる。
誤った操作は大事故に至るのでミスは許されない。
結局、再突入時に使用するRCSスラスターを利用して回転は止めたものの、RCSスラスターの燃料を75%消費したため、これ以上のミッション継続は不可能になった。
その後に計画されていた船外活動や他の実験は中止となり、ジェミニ8号は急遽帰還した。
この影響で、大西洋ではなく沖縄近海に着水した。
予備の着水ポイントに帰還した宇宙船はジェミニ8号が始めてであった。
宇宙空間で生命の危険に直面しながらクルーが生還を果たした例は、ジェミニ8号とアポロ13号だけである。
このジェミニ8号の船長ニール・アームストロングは後にアポロ11号で人類初の月着陸を成功させた人物である。
後の調査によって、スピンの原因は電気系統のショートであることが判明した。
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参考文献・サイト
宇宙情報センター
KSC:Gemini
NASA:Gemini
NSSDC:Gemini
2011/01/22