じょうが/チャンア1を語る。
中国の月探査計画をCELP[Chinese Lunar Exploration Program]という。
CELPは国家プロジェクトとして進められ、周回・軟着陸・サンプルリターンの3段階(下表参照)で構成される。
段階 | 内容 |
第1段階 | 周回によって月の表面を探査する。周回探査のノウハウを蓄積する |
第2段階 | 軟着陸によって月の表面を探査する。同時にローバーを着陸させ探査する。表面探査のノウハウを蓄積する |
第3段階 | サンプルを持ち帰り、地球上で分析する |
中国における行政の最高機関を国務院をいう。
CELPは、国務院の一部門である国防科学技術工業委員会[COSTIND]によって決定されたのだ。
CELPを実施に進め、探査機の開発・運用を行う組織が中国国家航天局[CNSA]である。
CNSAは米国でのNASAに相当する。
CELPで開発される探査機はすべて無人探査であるが、CELP後に有人探査が計画されている。
CELPの第一段階で周回軌道に投入される探査機がじょうが/チャンア1[Chang'e 1]だ。
中国初の月探査機でもある。
中国国家航天局[CNSA]はチャンア1で探査技術を蓄積し、第二段階、第三段階に繋げたい考えなのだ。
じょうが/チャンア1は2007年9月に打ち上げの予定である。
約1年の周回軌道からの探査によって月面の3D地図作成やヘリウム3等の資源探査を実施する。
チャンア1は、まったくのゼロから開発されたのではなく、軍用通信衛星DFH-3をプラットフォームとしている。
もちろん、通信衛星と探査機ではノウハウがまるで違う。
DFH-3の運用を通じて得た知見・技術をベースにチャンア1を開発していくのである。
打ち上げロケットにはLM-3A(長征3A)が利用される。
LM-3Aは主に通信衛星の打ち上げ用に開発された3段式のロケットで、1994年2月の初使用より合計9回の打ち上げすべてを成功させている。
チャンア1は、国営の打ち上げ会社・中国長城工業総公司[China Great Wall Industry Corporation:CGWIC]によって、西昌衛星発射センター[XSLC]から打ち上げられる。
CELPの第1段階の目標は4つある。
つまり、チャンア1の探査を通じて、これら目的を達成するのだ。
チャンア1には次の観測機器が搭載されている。
観測機器 | 機能 |
光学イメージングシステム | CCD Stereo CameraとInterferometer Spectrometer Imagerから構成される。 |
レーザー高度計 | レーザーを使用し月面の地形の高低を測定する |
ガンマ線/エックス線分光計 | 月面からのガンマ線/エックス線の放射を計測し元素を調査する |
マイクロ波検出器 | 月面の表層の厚みを調べる |
宇宙環境モニターシステム | High-Energy Solar Particle DetectorとLow-Energy Ion Detectorから構成される。 |
ペイロードデータ制御システム | 各計測機器を制御する |
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参考文献・サイト
NSSDC
中国探月/CLEP
Encyclopedia Astronautica
CGWIC
2010/04/24