シアノバクテリアを語る。
シアノバクテリアとは
シアノバクテリアは、光合成を行うバクテリアである。
藍藻(らんそう)ともいう。
シアノとは藍色を意味する。
シアノバクテリアと光合成
人間は、食べなくては生きていけない。
哺乳類も、爬虫類も、魚類も同じだ。
生物の体は細胞からできている。
細胞が養分を必要とするので、生物は食べものを体内に取り込み、消化を経て細胞へ養分を送るのである。
生物は、自分の体内で養分を作れないので、体外から食べものを摂る必要があるのだ。
植物も細胞でできている。
ところが、植物は食べ物を摂らない。(食虫植物を除いての話)
植物は、他の生物と異なり、自分の体内で養分を作れるので、食べものを摂る必要がないのである。
植物は、水と二酸化炭素と光さえあれば、自前で養分を合成できるのだ。
このような、食べ物なくても自前で養分を調達できる特技を光合成とよぶ。
光合成では養分が作られるが、同時に酸素を排気する。
もし、人体も光合成ができたなら、世界に食料危機は起こらないだろう。
食品会社は、顧客が付かないので倒産してしまうが。
地球に植物が出現するはるか以前、地球上の生命は細菌のみであった。
やがて、光合成を行う細菌が出現し、その後直物へと進化した。
シアノバクテリアの起源は古く、28億年前に出現ている。
反論もあるが、シアノバクテリアが最古の光合成生物と考える説が主流だ。
シアノバクテリアは最古の光合成生物であって、最古の生物ではない。
通常のバクテリア(細菌)は、光合成の能力を持たない。
シアノバクテリアは、通常のバクテリアの能力にプラスして光合成の能力を持っている。
つまり、通常のバクテリアから進化してきたのだ。
葉緑体とシアノバクテリア
植物の細胞には、葉緑体が含まれている。
光合成は、この葉緑体で行われている。
水、二酸化炭素、光から養分を製造する工場なのである。
20億年以上前、真核細胞がシアノバクテリアを取り込み共生が始まった。
これが葉緑体の起源である。
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シアノバクテリアと地質
縞状鉄鉱層
シアノバクテリアは28億年前に出現し、繁殖した。
当時の地球大気は二酸化炭素が支配していた。
ところが、大量のシアノバクテリアの光合成によって、二酸化炭素が吸収された。
シアノバクテリアは、光合成によって酸素を放出する。
シアノバクテリアの光合成によって、酸素が放出されると、海水中に溶けていた鉄イオンが酸化鉄となって海底に堆積した。
これが縞状鉄鉱層となった。
海水中の鉄イオンがすべて酸化鉄となると、海水中の二酸化炭素が余剰となるため大気中に放出された。
こうして地球の大気に、酸素が増えていったのだ。
シアノバクテリアが地球の環境を変えたのである。
現在、人間の経済活動が地球の大気中に二酸化炭素を増加させている。
20億年は、シアノバクテリアが地球の環境を破壊したのである。
酸素が増加すると、嫌気性の細菌はダメージを受ける。
酸素のない環境に適合していた多くの生命は絶滅した。
しかし、その中から酸素を有効に利用する生物種も誕生した。
酸素呼吸のエネルギー獲得の効率は高い。
酸素呼吸を手にした原核生物は、真核生物へと進化していった。
ストロマトライト
この時代のシアノバクテリアは、石灰岩質の堆積岩を作っている。
この化石をストロマトライトという。
ストロマトライトは、層状の構造を持つ堆積岩である。
ドーム状の形のストロマトライトが多い。
シアノバクテリアは、岩石の表面に付着して光合成を行う。
シアノバクテリアの体は、ネバネバしているため、ここに砂粒などの粒子が付着する。
翌日、光合成を行うために、シアノバクテリアは、積もった粒子の上に出てくる。
これを毎日繰り返すので、層状の岩石ができるのである。
ストロマトライトは、先カンブリア代の地層から数多く発見されていた。
しかし、ストロマトライトが地層なのか化石のかで論争があった。
1960年代に、オーストラリアの海岸で、似た岩石が発見され光合成を行う微生物が付着しているのが確認された。
このため、ストロマトライトはシアノバクテリアの活動によって生成されたと結論した。
ストロマトライトには「石のカーペット」という意味がある。
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参考文献・サイト
大島泰郎「地球外生命」講談社現代新書,1999
アンドリュー・パーカー「眼の誕生」草思社,2006
マーシャ・ビョーネルード「岩石から読み取る地球の自叙伝」日経BP社,2007
2008/03/13
2009/02/28