ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

原始星を語る。

トップページ銀河系の目次恒星の進化原始星

原始星とは

原始星とは誕生間もない恒星である。

恒星暗黒星雲の中で誕生する。
暗黒星雲の濃い部分は、密度が高いため自分の重力で収縮していく。
収縮すると暗黒星雲の密度がさらに高くなるので、収縮も加速する。



中心に向かい高速で落下する物質の運動エネルギーは大きい。
これら物質が中心に到達すると、運動エネルギーが熱エネルギーに変換される。
この熱によって光を放つ天体を原始星という。



原始星は誕生初期の恒星のことである。
暗黒星雲の収縮から、おうし座T型星になる直前までの天体である。




原始星の特色

原始星の光は強烈だ。
核融合反応で輝く主系列星よりも明るい。



誕生直後の原始星を見ることはできない。
暗黒星雲に取り囲まれているからだ。
その代わりに、原始星の熱を受けた暗黒星雲は、赤外線を放つ。



この現象を林フェイズと呼ぶ。
研究者・林忠四郎にちなんでいる。



原始星の収縮が続くと、やがて核融合反応が始まり、主系列星へと進化していくのだ。
その直前までに、原始星が放つ恒星風によって周囲の暗黒星雲が排除される。



つまり、恒星主系列星に移行する直前に、可視光線での観測が可能になるのだ。
この状態にある星の代表例がおうし座T型星である。



原始星の内部は全体が対流している。
中心部の温度が高い一方で、原始星の表面は冷えている。
このため原始星の内外で温度差が激しいため、大規模な対流が起こるのだ。





実はデカい原始星

原始星は「赤ちゃんの星」などと表現する場合がある。
このためか、原始星は小さいというイメージがある。



実際の原始星は、太陽の100倍ほど大きい。
原始星の表面温度は6000度で太陽と同程度だ。
温度が同じで表面積が広いので原始星は極めて明るいのだ。



原始星はやがて重力で収縮し、主系列星へと発展する。
つまり、原始星は成長するにつれだんだんと小さくなるのである。
原始星は主系列星よりも大きいのだ。



核融合反応が起きていないので、原始星の表面温度は低い。
しかし、星のサイズが大きい(表面積が広い)ので、主系列星よりも絶対等級は明るいのだ。




原始星とHH天体

原始星が重力で収縮するにつれ、その周囲には降着円盤が形成される。

降着円盤内のガスや塵は螺旋(らせん)を描きながら中心の原始星へ落ち込んでいく。
このとき原始星に落ち切れなかった物質は、降着円盤に垂直な方向にジェットの流れを形成する。



このジェットが周囲のガスや塵と衝突すると、その衝撃で発光する。
これがハービッグ・ハロー天体だ。



この天体を研究したハービッグ氏、ハロー氏に由来する。
略してHH天体ともいう。

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参考文献・サイト

福江純「目からウロコの宇宙論入門」ミネルヴァ書房,2008
Baby Star is Way Ahead of its Time
Protostars and the Nebula
Stars
New Spin on How Stars are Born

2007/05/19



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