ビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A
宇宙の年齢は?
宇宙に始まりがあったなら、そのときから現在までの時間が宇宙の年齢になります。
では、宇宙の年令はどのように測定するのでしょうか?
ここでハッブル定数が登場します。
ハッブル定数の逆数が宇宙の年齢になるからです。
ハッブル定数は単なる定数ではなく、宇宙の起源や進化に関する理論を構築するための非常に重要な定数なのです。
ハッブル定数は、銀河の後退速度とその銀河までの距離が分かれば計算できます。
しかし1個の銀河だけで算出するのは誤差が大きいので、ハッブル定数を求めるためには、多数の銀河の後退速度と距離を観測によって調べなくてはなりません。 銀河の後退速度はスペクトルの赤方偏移を利用します。ハッブル定数
遠ざかるスピードが速くなると、像の色は実際よりも赤く見えます。
さらにスピードが上がると、もっと赤く見えるようになります。
これが赤方偏移です。赤さの度合いを測定すればその銀河の後退スピードが分かるのです。
一方、距離はセファイド型変光星を使用して算出します。
遠方の銀河の中にあるセファイド型変光星を見つけ出し、実視等級と変光周期を測定します。
セファイド型変光星は絶対等級と変光周期に相関関係があるので、この銀河までの距離が分かるのです。
このように考えると、ハッブル定数はとても簡単に求めることができそうですが、現実には大変な困難が伴います。
距離をシビアに測定できなかったため、精度のよいハッブル定数がなかなか定まりませんでした。
ハッブルの法則の発表以来、ハッブル定数をいかに正確に求めるかが、天文界の課題だったのです。
発表されるハッブル定数は1メガパーセク(約326万光年)あたり秒速50kmから秒速100km程度の範囲で、最大と最小で2倍の開きがあったのです。
ハッブル定数の値がアヤフヤであったために、宇宙の起源や進化といった命題に踏み込めずにいたのでした。
そこで登場したのがハッブル宇宙望遠鏡です。
ハッブル宇宙望遠鏡は地球大気圏の外で観測を行うため、空気に邪魔されることなく非常に精度の高いデータが得られるのです。
その結果、宇宙の年令は120億年、ハッブル定数は「1メガパーセックあたり秒速70km(誤差10%)」と算出されました。
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参考文献・サイト
Black Holes FAQ
Q & A: Black Holes
2012/07/31