ビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A
銀河はなぜ、ダークマターを含んでいるの?
銀河がダークマターを含んでいるように思えますが、実際は逆でダークマターがまず集まり、その周囲に通常の物質が引き寄せられて星となり銀河が生まれました。
ダークマターは、実は宇宙論の根幹になる重要な役割を担っています。
宇宙の誕生から38万年後に宇宙が晴れ上がりました。
宇宙が晴れ上がるとキラキラ光る星が見えるようになったとイメージしますが、それは誤解です。
晴れ上がった直後の宇宙は水素やヘリウムが漂っているだけで星はありませんでした。
最初の星が誕生するには、さらに3億年かかります。
それまでの間は光るものが何もないので、この期間を宇宙の暗黒時代といいます。
晴れ上がったら暗黒時代というのは、奇妙に感じますが、実はこの時代、ダークマターが重要な役割を果たしました。
宇宙が晴れ上がった瞬間の宇宙背景放射を見ると、均一と思われていた背景放射に10万分の1程度の揺らぎがあることが分かりました。
これは物質が均一に分布しているのではなく、濃い部分と薄い部分があったことを意味します。
濃い部分は重力が強いので物質を集め、より重力が強まりさらに物質を集めます。
これがやがて恒星を生み出し銀河団へと成長します。
物質のない部分には銀河ができませんので、この領域が後にボイドになります。
このようなゆらぎは宇宙の晴れ上がりと同時に生じたのではなく、晴れ上がる以前からあったはずです。
ダークマターの濃淡も晴れ上がる前からありました。
初期の宇宙は均一のようでいて、実際には密度のわずかなゆらぎがありました。
ダークマターの密度の高いところは重力が強いので、ダークマターが集まります。
この影響で重力が強まるので、さらにダークマターが集まります。
やがてダークマターの重力にひかれて少数派の通常物質が集まり、星となり銀河が生まれました。
もし、ダークマターがなかったら、物質が集まらないので現在のような銀河は生まれなかったことでしょう。
ダークマターの性質の多くは不明のままですが、ダークマターのエネルギーの持ち方について二つの仮説が考えられました。
ダークマターはエネルギーが大きく高速で移動すると考えるホットダークマター仮説とエネルギーが小さくゆっくりと移動するコールドダークマター仮説です。
宇宙がホットダークマターに満たされた場合と、コールドダークマターに満たされた場合では、宇宙の進化の状態が変わってきます。
もし、ダークマターの正体がホットダークマターだったとすると、ホットダークマターは活発に動き回ってしまうため、銀河のスケールのゆらぎを無くしてしまうことでしょう。
このことから、ダークマターはコールドダークマターであると考えられています。
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参考文献・サイト
Black Holes FAQ
Q & A: Black Holes
2012/07/31