大赤斑を語る。
大赤斑とは
10cm程度の望遠鏡で木星を見ると、南半球に赤みがかった円形がポツンと見えることがある。
これは、木星大気の巨大な高気圧で大赤斑と呼ばれている。
大赤斑はガスの大規模な渦巻きなのだ。
ボイジャー1号が撮影した木星の大赤斑
出展:Solar System Exploration:Jupiter
大赤斑の性質
高気圧と言っても、大赤斑は、地球上の高気圧とはスケールが違う。
大赤斑の直径は地球の3個分もあり、6日で渦が1回転する。
渦の最高部は、周囲よりも8kmも高いのだ。
大赤斑の正体が巨大な渦巻きであることは、ボイジャー1号による探査によって発見された。
それ以前は、木星表面の液体か固体ではないかとする説もあったようだ。
大赤斑がなぜ赤いのかは、よく分かっていない。
気流が高分子やリンを含んでいるからだとする考えもある。
大赤斑の色は年代とともに変化する。
レンガのような色のときや、ほとんど白色に近いときもある。
大赤斑は1665年に、カッシーニによって発見された。
つまり、大赤斑は340年以上も存在し続けているのだ。
まさにスケールの大きな高気圧である。
大赤斑の寿命
ところが、大赤斑の340年以上の存続に異論を唱える人もいる。
カッシーニによる発見から1713年までの間、大赤斑は頻繁に観測された。
ところが、次の確実な大赤斑の観測記録があるのは1830年である。
つまり、1713年〜1830年までの118年間、大赤斑の記録は空白期間なのだ。
カッシーニが発見した大赤班が現在まで継続しているのか、あるいは一度消滅し再発生したものなのかは、特定できていない。
大赤斑の長寿の秘訣は、周囲で新たに発生する渦巻きを次々と吸収することにあるらしい。
木星の大気では、上昇気流・下降気流が絶えず発生し、これが小型の渦を作る。
木星には固体の地表がないから、渦は抵抗を受けず長く存続する。
大赤班の周囲で発生した渦は、大赤班に飲み込まれていく。
これにより大赤班は小型の渦からエネルギーをもらい、自らの寿命を保っていると考えられている。
大赤斑の縮小
20世紀後半のボイジャー1号、ボイジャー2号による観測で、大赤斑の大きさは2万3000キロメートル、ハッブル宇宙望遠鏡による1995年の観測では2万1000キロメートルであることが分かった。
19世紀からの100年間で半分近くに縮小したのである。
2012年以降は、1年間で930キロメートルずつ縮小が続いており、形も楕円から真円に近付いている。
このままのペースでいけば近いうちに消滅してしまうかもしれない。
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参考文献・サイト
Solar System Exploration:Jupiter
Welcome to the Planets: Jupiter
Jupiter's Great Red Spot
Hubble Shows that Jupiter's Great Red Spot Is Smaller than Ever Seen Before
2008/09/01
2010/01/10
2015/08/09