タイタンの大気を語る。
タイタンの大気
タイタンは、濃い大気を持つ太陽系唯一の衛星である。
ガニメデに次いで、サイズの大きい衛星でもある。
大気の存在はカイパーの分光観測によって明らかになった。
この大気には、雲とスモッグが充満しているため、外側から可視光で地表を見ることができない。
当初、大気が不透明であることまで分からなかったため、タイタンのサイズは大きめに見積もられ、ガニメデよりも大きいと認識されていた時期もある。
大気は窒素が大部分(98.4%)を占め、残りはメタンや他の炭化水素で構成されている。
炭化水素は、大気上層部のメタンが太陽からの紫外線で変化したものと考えられている。
この炭化水素が濃いスモッグになるのだ。
メタンは時間の経過とともに分解する。
しかし、メタンが大気中に存在するということは、どこかにメタンの生成源があることを示唆している。
生成源は特定されていない。
大気圧は地球の1.5倍に達する。
多くの窒素を含む大気を持つ天体は、地球とタイタンのみである。
大気中に立ち込める濃いスモッグによって、太陽光は地表に達しない。
一方で、地表から放射される赤外線は濃い霧を透過して宇宙空間へと逃げていく。
このプロセスは温室効果の逆のメカニズムとして、タイタンを冷やすように作用する。
冷凍庫の中の氷がいつの間にか小さくなっていることがある。
溶けていないのに氷が減ってしまうのだ。
これは、水が固体(氷)から液体を経由しないで直接気体に少しずつ移行するからである。
この現象を昇華という。
タイタンの地表付近の気温は-179℃程度と考えられている。
この温度は、冷凍庫よりはるかに低いので氷は昇華できない。
つもりタイタンの空気は、寒いがカラカラに乾燥しているのである。
その一方で、液体メタンやエタンの雨は降るらしい。
(メタンの)雨季と寒気が繰り返されるという仮説もある。
上層大気の空気の流れが速いことも観測された。
自転速度よりも速く風が吹くのである。
これをスーパーローテーションと呼ぶ。
スーパーローテーションは、タイタンの他に金星でも確認されている。
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参考文献・サイト
JPL:Cassini-Huygens site
Titan: Overview
2009/11/21
2015/05/23