月の運行を語る。
月齢と朔望月
月は東から昇って、西に沈む。
ところが、月が東から上る時刻は、毎日少しずつ遅くなる。
例えば、満月はほぼ日没と同時に昇るが、翌日の月はさらに約1時間遅く昇る。
(時期によって30分くらいで昇るときもある)
これは、月が星座の間を西から東へ少しずつ移動していくことを意味している。
月は一日たつと、少し東へずれているので、昇る時刻が遅くなるのだ。
毎日、これを繰り返し、約30日でほぼ同じ位置に戻ってくる。
これを月の運行という。
この理由は明白だ。
月が地球の周囲を約29.5日で公転しているからである。
月は公転に伴って満ち欠けを起こす。
太陽に照らされた面の見え方が約29.5日周期で変化するからである。
半月のとき、欠けている部分には太陽光が当たっていない。
月に正面から太陽光があたった状態が満月だ。
月が太陽と同一方向の場合を新月という。
地球に影の部分しか向けていないうえ、太陽光がまぶしいため見ることはできない。
月は新月(朔)→上弦→満月(望)→下弦と変化し、再び新月へと戻るのだ。
このサイクルを「朔望月」という。
朔望月の長さは常に一定でないが、おおよそ29日12時間44分(約29.5日)である。
月齢とは朔からカウントした日数である。
朔を「0.0日」とし、6日と12時間経過していれば月齢6.5となる。
月の見かけの形は月齢と大いに関係がある。
上弦は月齢7.4、満月は月齢14.8、下弦は月齢22.2におおよそ相当する。
「月齢」を「月令」と書いている資料もある。
新月・朔
太陰暦は、月の満ち欠けを根拠にしている。
朔望月を「1か月」としており、月(moon)が朔になると月(month)が改まる。
朔になると、新しい月がスタートするので新月ともいう。
月の第一日を「ついたち」というが、これは「月立ち(つきたち)」に由来する。
上弦
朔望月のサイクルの中で、半月は2回ある。
月の左側が欠ける上弦と、右側がかける下弦だ。
新月から約1週間で上弦になる。
日没時に真南に見える半月が上弦の月である。
満月・望
月が太陽の正反対にある状態が望だ。
太陽光が月面に真正面に当たるため、月全体が照らされ満月となる。
下弦
上弦のちょうど反対が下弦である。
上弦と下弦では、同じ地形を正反対から照らしていることになる。
日の出時に真南に見える半月が下弦の月である。
月と暦
太陰暦と太陽太陰暦
月の運行は暦にも大きく関わっている。
月の運行を根拠とした暦を太陰暦という。
また、太陰暦に太陽の運行をプラスしたものを太陽太陰暦という。
暦には、二十四節気と雑節がある。
旧暦「太陰太陽暦」は誤差の大きい暦なので、ときどきカレンダーに「閏月」を入れて補正しなくてはならない。
二十四節気はもともと、閏月を入れるタイミングを判断するためのチェックポイントであった。
太陽暦に移行した今となっては本来の目的を失い、「季節を表現する特定の日」としての意味しかない。
雑節も「季節を表現する特定の日」であるが、起源は二十四節気とは異なる。
二十四節気は閏月によるカレンダー補正という目的を持っていたが、雑節は(全部ではないが)行事に由来する。
二十四節気
太陰暦は、朔望月を「1か月」としている。
朔望月は平均約29.5日であるため、0.5日が半端になる。
しかし、ひと月の日数が「29日の月」と「30日の月」が交互になるようにする。
朔望月は一年間に12回繰り返すので、1年は12か月になる。
「29日の月」と「30日の月」を交互に12回繰り返すと、354日になる。
365日に11日足りない。三年累積すると33日(約1月)足りなくなる。
このため、太陰暦は三年使うと、季節が約ひと月ずれてしまうことになる。
このような精度の低い暦は農耕に使えない。
種まきや収穫の時期が見極められないからだ。
このズレを解消するのが「閏月」だ。
三年ごとに「余分なひと月」を加えればいい。
まさに、「不足を潤す月」なのだ。
閏月が入るとその年に限り、一年が13か月になる。
こうなると「どのタイミングで閏月を加えるか」の指針が必要になる。
そこで登場するのが二十四節気(にじゅうしせっき)である。
二十四節気は、24個の「季節のチェックポイント」から構成される。
これらチェックポイントは、ほぼ15日ごとに設定されている。
365日を24で割ると約15.2日になるからだ。
24個のチェックポイントのうちの半分を「中気」と呼ぶ。
以下の12個が中気だ。
雨水、春分、穀雨、小満、夏至、大暑、処暑、秋分、霜降、小雪、冬至、大寒
(中気以外の12個を「節」という)
中気は、約30.4日毎に巡ってくる。
(365日÷12≒30.4日)
ひと月の日数は「29日」または「30日」なので、中気の間隔はひと月の日数よりもわずかに長い。
(1.4日〜0.4日長い)
ということは、たまたま月末に中気が来ると、翌月は中気がないことになる。
「中気がない月」は3年に一度発生する。
この「中気がない月」を閏月に指定するのだ。
例えば、四月の翌月に中気が無かったとする。
この場合、翌月は「五月」ではなく「閏四月」になる。
「閏四月」が明けると「五月」になる。
雑節
雑節は民間の行事に由来するため、カレンダーの補正機能は持っていない。
雑節には、節分・彼岸・八十八夜・二百十日などがある。
メトン周期
19太陽年と235朔望月は、ほぼ等しい等しい期間になる。
これをメトン周期という。
紀元前5世紀のギリシャの天文学者メトンが発見した。
ある日付で、月の満ち欠けが一致する周期でもある。
ユリウス日の起算日にはメトン周期も参入されている。
サロス周期
太陽、地球、月の相対的な位置が繰り返される周期をサロス周期といい、約18年10日8時間に相当する。
日食、月食が同じパターンで起こる周期でもある。
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参考文献・サイト
2008/03/19