ハーシェル赤外線宇宙望遠鏡を語る。
赤外線宇宙望遠鏡ハーシェルとは
概要
天体から来る光は可視光線(目に見える光)だけではない。
電波や赤外線、紫外線もやってくる。
宇宙を赤外線で観測する分野が赤外線天文学、赤外線で観測する装置が赤外線望遠鏡だ。
ハーシェルは2009年5月14日に打ち上げられ、2013年4月29日まで運用されたESAの赤外線宇宙望遠鏡である。
ハーシェル赤外線宇宙望遠鏡
出展:ESA:Herschel at a glance
ハーシェルは直径3.5メートルの主鏡を持つ過去最大の赤外線宇宙望遠鏡である。
従来の赤外線宇宙望遠鏡の4倍、ハッブル宇宙望遠鏡の1.5倍のサイズだ。
遠赤外線からサブミリ波までの範囲をカバーする赤外線宇宙望遠鏡としては世界初である。
恒星や銀河の初期の姿や、太陽系外惑星系の進化の様子の観測がミッションだ。
物体は温度に応じた赤外線を放射する。
ハーシェル自身が放射する赤外線が、宇宙から来る赤外線の観測の邪魔になることは避けたい。
そこでハーシェルは液体ヘリウムを利用した冷却システムを搭載し、1.4K(マイナス271.75度)まで冷却する。
2000リットルの液体ヘリウムを積載して打ち上げられたが、約4年間の観測でほとんど使い切ってしまった。
ハーシェルはイギリスの天文学者ウイリアム・ハーシェルにちなんで命名された。
ハーシェルは天王星を発見した人物として有名であるが、同時に赤外線の発見者でもある。
観測機器
ハーシェルは3つの観測機器を搭載する。
PACS Photodetecting Array Camera and Spectrometer | 低分解能の55〜210マイクロメートルの範囲をカバーする低分解能の分光器とカメラで構成される。4つの検出機、2つのボロメータ、2つのフォトコンダクターを含む。 |
SPIRE Spectral and Photometric Imaging Receiver | カメラと194〜672マイクロメートルの範囲をカバーする低分解能の分光器とカメラで構成される。フーリエ変換による分光計も含む。 |
HIFI Heterodyne Instrument for the Far Infrared | 遠赤外領域の高分解能分光器で、157〜213マイクロメートル、240〜612マイクロメートルの2つの範囲をカバーする。 |
ハーシェル赤外線宇宙望遠鏡のプロモーション
出典:YouTube Herschel - One year after launch
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参考文献・サイト
ESA:Fact Sheet
Herschel at a glance
2011/06/07
2015/05/30