赤外線天文学を語る。
赤外線天文学とは
赤外線で観る宇宙
プリズムに太陽光を通過させるとカラフルな虹のパターンが出現する。
太陽の光には多くの色の光が混ざりあっていることが分かる。
スペクトルとはこの虹のパターンのことだ。
光の正体は空間を伝わる波"電磁波"であり、電磁波の波長の違いが光の色の違いになる。
人間の視神経は「波長の違い」を「色の違い」として感じ取る。
光の屈折率は波長によって違うため、プリズムを通過するするとき波長の違いで光が分けられスペクトルが出現する。
ハーシェル赤外線宇宙望遠鏡が撮影したアンドロメダ銀河
出展:ESA:Cool Andromeda
スペクトルの両端は赤と紫だが、その外側にも眼に見えないだけで光が来ている。
赤色の外側を赤外線、紫の外側を紫外線と呼ぶ。
太陽光にはプリズムで分解される虹の各色だけでなく、赤外線や紫外線も含まれていることになる。
光学望遠鏡で天体を観測するということは、天体の光(可視光)を観測することである。
光学望遠鏡は、様々な電磁波の中から、可視光だけをキャッチしているにすぎない。
眼に見えない赤外線で天体を観測する研究分野が赤外線天文学だ。
赤外線宇宙望遠鏡
赤外線の観測をするうえで地球の大気は邪魔ものである。
大気が赤外線を弱めてしまうからだ。波長によってはほとんど通過しない場合もある。
これを避けるため、宇宙空間で赤外線を観測する衛星もある。
これが赤外線宇宙望遠鏡である。
赤外線天文衛星という場合もある。
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赤外線天文学のターゲット
可視光を放っていない天体でも、温度に応じた赤外線を放射する。
このため、暗い天体でも赤外線なら観測することができるのだ。
恒星や銀河の初期の姿や、太陽系外惑星系の進化の様子、小惑星の観測が赤外線天文学の対象になる。
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参考文献・サイト
武部俊一「宇宙開発の50年」朝日新聞社,2007年
JAXA:果てしない宇宙の謎にせまる
ESA:History of infrared astronomy
IPAC:Infrared Astronomy
ESA:Cool Andromeda
2009/01/22
2015/05/31