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赤外線宇宙望遠鏡を語る。

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赤外線宇宙望遠鏡とは

赤外線天文学と赤外線宇宙望遠鏡

天体から地球に届く光は可視光線(目に見える光)だけではない。
電波や赤外線紫外線など眼で見ることができない光も宇宙からやって来る。
宇宙を赤外線で観測する分野を赤外線天文学という。



人間は赤外線を見ることができないので、赤外線天文学では赤外線を見えるようにする工夫が必要だ。
そのための装置の一つが赤外線望遠鏡である。



赤外線望遠鏡は赤外線を捉えて、人間が見える映像に変換する。



赤外線の観測をするうえで地球の大気は邪魔ものである。
大気が赤外線を吸収してしまうからだ。



これを避けるため、赤外線望遠鏡をロケットで打ち上げ、宇宙空間で運用する。
これが赤外線宇宙望遠鏡である。
赤外線天文衛星という場合もある。



原理

あらゆる物体は温度に応じた赤外線(正しくは電磁波)を放射する。

赤外線の放射の様子
高温の物体はより赤外線を放つ



加熱したフライパンに手を近付けると触れていなくても熱を感じる。

これは手が強い赤外線を受けたから、体内の神経系が「熱い」と判断したのである。



身の回りのものも、温度に応じた赤外線を放っている。
雪や氷でさえも赤外線を放っている。熱を感じられないほど微弱なだけなのだ。



この赤外線を検知して映像にする技術の例の一つがサーモグラフィーである。
サーモグラフィーで暗闇を撮影すれば、光を放っていない物体も熱で映像化できるのだ。



原始星はダストに包まれているので光で見ることはできない。
しかし、赤外線はダストを透過するので、赤外線で観測すればその姿を観ることができるのだ。
これが赤外線宇宙望遠鏡の原理である。



赤外線宇宙望遠鏡は冷やして使う

宇宙から来る微弱な赤外線を捕えて映像化するためには、大気圏の外に出るのが理想的だ。
しかし、まだ問題がある。
赤外線宇宙望遠鏡自身が赤外線を放ってしまうのだ。
望遠鏡そのものが観測の邪魔をするである。



そこで、赤外線宇宙望遠鏡は冷やして使用する。
赤外線は温度に応じて放射されるので、極限まで冷却する必要がある。
このため、赤外線宇宙望遠鏡は冷却剤として液体ヘリウムを搭載している。



どんなに密封しても、長期間のうちに冷却剤は漏れてしまう。
このため冷却剤が無くなれば、ミッションが完了するが、高感度が求められない観測が割り当てられる。



ミッション

あかり(ASTRO-F)

2006年2月に打ち上げられた日本初の赤外線天文衛星である。
天球全体をスキャンして、赤外線による全天マップを作成した。
2007年8月に冷却剤の液体ヘリウムを使い切ったが、 2011年11月24日にミッションが完了するまで、近赤外線観測装置として運用が続けられた。



ハーシェル

ハーシェルはESAの赤外線天文衛星である。
2009年5月14日に打ち上げられ、2013年4月29日まで運用された。
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スピッツァー

2003年8月にNASAが打ち上げた赤外線天文衛星である。
ハッブル、コンプトン、チャンドラと共に、グレートオブザバトリーを構成する。
地球を回る人工衛星ではなく、地球から少し遅れて地球軌道上を公転する人工惑星である。
打ち上げから10年以上経過したが、なお健在である。
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ワイズ/WISE

WISEは赤外線で全天を調査する観測衛星である。2009年12月14日にデルタロケットで打ち上げられた。
太陽同期軌道を回り半年かけ、3.4、4.6、12、22ミクロンの波長で全天の99%以上の領域をスキャンし赤外線による宇宙の地図を作成した。

2011年2月にミッションが完了して冬眠モードに入ったが、2013年9月にネオワイズに改名して再起動し、あらたなミッションを継続している。
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IRAS

1983年1月に打ち上げた赤外線天文衛星である。
同年11月、冷却剤の液体ヘリウムを使い切ったので、運用が停止した。



ISO

ISOは、1995年11月から998年5月にかけて運用されたESAの赤外線天文衛星である。
ISOはInfrared Space Observatory[赤外線宇宙天文台]の略である。



SPICA(スピカ)

日本が打ち上げを計画している赤外線天文衛星である。



ジェイムズ・ウェッブ

NASAが打ち上げを計画している赤外線天文衛星である。
ハッブル宇宙望遠鏡の後継機である。
打ち上げは2018年以降になる。



ダーウィン

ESAが打ち上げを検討していた地球サイズの太陽系外惑星の発見を目指す観測衛星である。
2007年に規格自体がボツになった。

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参考文献・サイト

The James Webb Space Telescope
Herschel
Spitzer Space Telescope
Darwin
WISE
Solar System Exploration:WISE
あかり
IRAS
SPICA
ISO

2011/06/07
2015/05/30



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