ワイズ / WISEを語る。
ワイズとは
WISEは赤外線で全天を調査するミッションである。
Wide-field Infrared Survey Explorer(広域赤外線探査衛星)の頭文字をとってWISEと命名された。
太陽同期軌道を回り半年かけ、3.4、4.6、12、22ミクロンの波長で全天の99%以上の領域をスキャンし赤外線による宇宙の地図を作成する。
2009年12月14日にデルタロケットで打ち上げられた。
天体は表面温度に応じた波長の光を放出する。表面の温度が低いと可視光を放射せず、赤外線だけを出す。つまり低温の星は赤外線でなければ観測することができないのだ。
WISEはこのような天体を専門に観測する宇宙望遠鏡なのである。
天体に限らず、あらゆる物体は温度に応じて赤外線を出している。ということはWISE自身も赤外線を放射するので、これが観測のノイズになる。
ワイズの機体が放射する赤外線を最小限にするため、ワイズはマイナス260度程度まで冷却されている。
冷却剤を使いつくしたときが、ワイズのミッションの終了である。
WISEのミッションの目的は大きく4つある。
-太陽系に近い低温の天体を探す
-遠方の明るい銀河を探す
-太陽系内の小惑星を調査する
-銀河、恒星、惑星の進化に関する知識を得る
ワイズは、IRASの500倍の感度を持つ。
ワイズ/WISEの運用
WISEの軌道は常に地球の昼と夜の境目の上空になるように調整されている。
この軌道上で太陽電池は常に太陽の方向に向けられ、望遠鏡は地球を背にして太陽と直角の方向を向いてる。
このような軌道を描くことにより半年で全天をスキャンできることになる。
WISEは表面が600度までの褐色矮星を全天で1000個程度発見することが期待されている。日常の感覚では600度という温度はかなり高温に思えるが、太陽の表面温度が6000度であることから考えても、600度は星の世界では低温の部類だ。
このくらい低温の星であれば可視光での観測は無理で赤外線でなければ見えない。
ワイズの能力であれば50光年までの距離に限れば225度Cまでの褐色矮星を、4光年以内に限ればマイナス70度の褐色矮星を発見ですることが可能だ。
現在知られている最も近い恒星は4光年先のケンタウルス座のプロキシマであるが、WISEによってこれよりも太陽系に近い褐色矮星が発見されるかもしれない。
WISEが一度に撮影する広さは満月の三倍もある。11秒ごとに撮影し半年で150万枚を収集する。これらのデータは1日に一回のペースでダウンロードされる。
ワイズの打ち上げ
ワイズは2009年12月4日にバンデンバーグ空軍基地から打ち上げられた。
ワイズの打ち上げ
出典:Image of the Day Gallery
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参考文献・サイト
WISE
Solar System Exploration:WISE
2009/04/27
2009/12/18
2011/06/04