天文学の単位(天文単位、光年、パーセック)を語る。
天文学で利用される単位には、天文単位(AU)、光年(ly)、パーセック(pc)の3種類がある。
天体は非常に遠方にあるため、キロメートルでは小さすぎて役に立たない。
そこで、宇宙のスケールに合わせて天文学独自の単位が考え出されたのである。
単位 | 略号 | 定義 | 距離 |
天文単位 | AU | 太陽地球間の距離 | 約1億5000万キロメートル |
光年 | ly | 光が一年間で進む距離 | 約9兆5000億キロメートル |
パーセク | pc | 1天文単位が1秒角に見える距離 | 約3.26光年 |
天文単位
太陽と地球の平均的距離(約1億5000万キロメートル)を1天文単位という。
1天文単位は1AUと表記する場合もある。これはAUがAstronomical Unit(天文単位)の略だからである。
例えば、太陽から土星までの距離は、太陽-地球間の9.5倍である。
つまり、土星は太陽から9.5天文単位の距離にあるのだ。
海王星が約30天文単位であることから、太陽系のサイズがイメージできる。
太陽地球間を基本単位とした意味は大きい。
近距離にある恒星までの距離は、年周視差を利用して測定する。
地球は半年で太陽を半周するので、半年を隔てて同じ恒星を観測すると、それは2天文単位離れた2点から観測したことになる。
こうすると、2天文単位を基準とする三角測量によって、恒星までの距離を測るのだ。
光年
「年」と付くが、光年は距離の単位である。
1光年とは、光が一年かかって進む距離を表している。
恒星や星雲までの距離は非常に遠い。
光の速度で移動したとしても何年も、何百年もかかるのである。
とても、キロメートルや天文単位では役に立たない。
そこで、「光の速度で移動したとしたら何年で行けるのか」を指標として距離を測るのである。
これが「光年」だ。
例を見てみよう。
プロキシマ(最も近い恒星)までの距離 | 4.2光年 |
シリウス(最も明るい恒星)までの距離 | 8.6光年 |
ポラリス(北極星)までの距離 | 430光年 |
オリオン座大星雲(M42)までの距離 | 1600光年 |
銀河系の直径 | 10万光年 |
アンドロメダ座銀河(M31)までの距離 | 230万光年 |
100光年とは、光が100年かかってやっと到達する距離である。
100光年先の天体を観測したとき、それは100年前にその天体を出発した光である。
つまり、100年前の姿を観測しているのである。
今、この瞬間の天体の姿は知ることができない。
その姿は100年後に観測されるのである。
パーセク
3.26光年を1パーセクという。
1パーセクは、1天文単位の視野角が1秒になる距離と決めている。
(1秒は時間ではない。角度で3600分の1度を意味する)
1パーセク離れた場所から地球を見ると、地球は太陽から最大で1秒離れて見えることになる。
パーセクは絶対等級の定義に使われている。
仮に恒星を10パーセクの距離に置いたときの明るさが絶対等級なのである。
スポンサーリンク
参考文献・サイト
The IAU and astronomical units
NASA
NASA:Tell Me About the Nearest Star System!
2008/05/27
2016/03/28