ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

海王星を語る。

トップページ太陽系の目次海王星

海王星は、どのような惑星なのか

海王星太陽系の第8惑星である。
8個ある惑星の中で、海王星太陽から最も遠方にある。
地球-太陽間の距離のおよそ30倍だ。

165年で太陽を公転する。



天王星は6等級のため、空の条件がよければ肉眼でも見ることができる。
このため、海王星は肉眼で見えない唯一の惑星である。



海王星
ボイジャー2号が撮影した海王星
出展:Solar System Exploration:Neptune

4つある巨大惑星のなかで海王星は最も小さい。


しかし、質量は天王星よりも大きい。



海王星の色は青みを帯びている。

これは、大気中に含まれるメタンの影響である。





冥王星は極端な楕円軌道を描いて公転している。
このため248年に一度、冥王星は海王星軌道の内側に入り込む。


1979年から1999年までの間、冥王星は海王星軌道よりも内側に来ていた。
当時はまだ、冥王星は惑星と見なされていたので、このときの海王星は「第9惑星」だったのである。



海王星のデータ
公転周期165.2269年
会合周期367.49日
自転周期0.6713日
(約16時間6分30秒)
質量地球の17.1471倍
半径2万4764km
(地球の約4倍)
太陽からの距離30.11039 AU

出展:天文年鑑

海王星は最遠の惑星である。
したがって海王星の軌道が太陽系の端だと思われるケースがあるがこれは誤解だ。

海王星軌道の外側には、氷と岩石からできた小型の天体が多く分布している。



これらを太陽系外縁天体という。
以前は海王星以遠天体とも呼ばれていた。
冥王星太陽系外縁天体である。




海王星の特色

海王星のリング(環)

海王星のリングは、掩蔽観測の結果から予言されていたが、ボイジャー2号の観測によって確実となった。
厚みの異なる6種のリングから構成されている。


このリングの最外周には、突出した部分がある。
なぜ、このような突出部があるのかは不明であるが、付近の衛星ガラティアによる引力の影響と考えられている。




海王星の大暗斑

ボイジャー2号は、海王星の表面に大暗斑を発見した。(1989年)
大暗斑は木星大赤斑に類似したものと考えられている。
大暗斑は地球程度のサイズを持ち、西方向に時速1200キロメートルで移動していた。


ところが、1994年にハッブル望遠鏡で観測したところ、この大暗斑はすでに消失しており、別の大暗斑が発生していることが確認された。


大赤斑は、木星大気の激しい渦である。
これに対し、海王星の大暗斑は、一時的に大気成分が薄くなった領域ではないかと考えられている。
つまり、海王星の大暗斑は、渦ではないのだ。




海王星の大気

海王星の大気は80%の水素と19%のヘリウムを主成分としている。
残りの1%がメタンだ。


たった1%のメタンであるが、侮るとこはできない。
海王星の青い色は、1%のメタンによって作られるのである。


メタンは赤い光を吸収する。
太陽から海王星に到達した光のうち、海王星は赤い光を吸収し、残りを反射する。
残りの赤以外の光が混ざり合って、海王星特有の色を作っているのである。


天王星もメタンによって特有の色を示す。
しかし、海王星と天王星で色合いが異なるのは、まだ検出されていない微量の物質によるものと推測される。


海王星の大気は厚い。
深くなるにつれ、水や他の氷を混ざっていく。
中心部に近づくにつれ液体の層もあるらしい。
中心部には、岩石と氷でできた地球サイズの核がある。




海王星の気候

海王星の気候の特色は強い風にある。
最大風速で時速2000kmの風が上空を吹いているのだ。
これは木星の嵐の三倍の強さである。


大気の層の表面はマイナス218℃と低温である。
しかし、低温でありながら太陽から受ける熱から考えてマイナス218℃は高めである。
このため、海王星内部には放射性元素の崩壊による熱源があると考えられている。




海王星の磁場

海王星は磁場を持っている。
この磁極は海王星の自転軸に対して47度傾いている。
海王星の自転によって磁極が振り回されるので、海王星の周囲の磁場は安定していない。


この磁場は地球の磁場に比較して27倍の強度である。




海王星の衛星

海王星の衛星は合計13個が確認されている。(2007年4月現在)
その中で最大の衛星トリトンである。


逆行衛星は小型であることが定番であるが、トリトンは大サイズであるにもかかわらず逆行衛星である。
トリトンは海王星の引力に捕獲されたカイパーベルト天体であるという見方が有力である。


トリトンの軌道は不安定である。
そのため少しずつ海王星に近づいている。




海王星探査

海王星を訪れた探査機はボイジャー2号しかない。
今後の海王星探査に向けてネプチューン・オービターも構想中だが、予算上の都合でボツになる可能性が高い。


ボイジャー2号

ボイジャー2号は、1989年8月25日に海王星に最接近した。
この接近によって大暗斑を発見した。


トリトンの地表で、液体窒素と液体メタンを噴出する氷の火山を発見した。



ネプチューン・オービター

NASAが構想中の海王星探査計画である。
海王星の周回軌道に投入され、海王星の気象やリングを観測する。


最も早いケースで、2030年の打ち上げになる。



海王星発見の歴史

海王星は力学の計算によって発見された唯一の惑星である。
19世紀、天王星の観測結果が軌道計算と一致しないことが問題となっていた。
その原因を天王星の外側を回る未知の惑星による影響と仮定したルベリエは、計算によってその惑星の存在を予言した。



その後、ガレがルベリエの計算結果に従って観測し、予告した位置から1度の誤差で海王星を発見したのである。(1846年)




海王星のその他のウンチク

ホットネプチューン

太陽系外惑星のなかで、中心恒星から極めて至近距離を公転する巨大惑星をホットジュピターと呼ぶ。
ホットジュピターとは「熱い木星」という意味である。



中心恒星に近いことから、この惑星は高温にさらされている。
そのため、ホットジュピターと呼ぶのだ。



観測精度が高まると、木星よりも質量の小さいホットジュピターも発見されるようになった。
このようなホットジュピターを、特に「ホットネプチューン」と呼ぶ。
ネプチューンとは海王星のことである。




チチウスボーデの法則

太陽と惑星の距離は、単純な数列で表現できる。
これをチチウス・ボーデの法則と呼ぶ。
チチウス・ボーデの法則は単なる経験則であって物理の法則ではない。



当初、チチウス・ボーデの法則はあまり重要視されなかった。
天王星ケレスチチウス・ボーデの法則が予告する位置で発見されたことからこの法則の信憑性が期待された。



ところが、その後に発見された海王星は、チチウス・ボーデの法則から完全に逸脱していた。
現在では、理論的な基盤を持たないのでチチウス・ボーデの法則は重要視されていない。
[..さらに詳しく見る..]




惑星X

海王星の運動が理論と一致しないことから、海王星の外側に未知の惑星が存在すると仮定された時期があった。
この惑星を惑星Xと呼ぶ。
惑星Xの引力の影響で海王星の運動が乱れると考えたのだ。



惑星Xを捜索する過程で冥王星が発見された。
しかし、冥王星の質量は小さいので、海王星の運動の矛盾を説明できない。 このため、惑星Xは冥王星とは別に存在すると考えられた。



ボイジャー2号が海王星に接近した際、海王星の引力から受ける加速度が測定された。
加速度が分かれば、海王星の質量が正確に算出される。
これにより従来の海王星の質量が修正された。



この結果、海王星の運動が理論と一致したため惑星Xを仮定する必要がなくなったのである。




海王星の軌道変化(ミグレーション)

海王星は太陽から30AUの距離にあるが、誕生時の海王星はもっと内側で太陽から20AUの距離にいたとする説がある。



海王星が誕生するとその重力の大きさで周囲の小天体に影響を与える。
この反動で海王星自体も軌道が変化し、だんだんと太陽系の外へと移動していったのだ。
これをミグレーションという。



カイパーベルト天体の中には、海王星と共鳴関係のものが多い。
これは海王星が移動しながら、時間をかけてカイパーベルト天体を共鳴関係に巻き込んだからである。
[..さらに詳しく見る..]

このページのTOPへ




スポンサーリンク

参考文献・サイト

Solar System Exploration:Neptune
Voyager:Neptune
Welcome to the Planets:Neptune
World Book at NASA:Neptune

2008/11/19
2014/11/03



スポンサーリンク

Amazon.co.jpアソシエイト



スポンサーリンク

Amazon.co.jpアソシエイト