チチウス・ボーデの法則を語る。
チチウス・ボーデの法則とは
太陽と惑星の距離は、単純な数列で表現できることが、1766年にチチウスによって示された。
その後、ボーデによって広まったことから、これをチチウス・ボーデの法則と呼ぶ。
チチウス・ボーデの法則では、惑星の並びを以下の式で表現する。
太陽からの平均距離 = 0.4 + 0.3 × 2n |
この式のnに水星を−∞(マイナス無限大)、金星以降の惑星に0、1、2、3・・・のように与えていく。
すると、nを当てはめた計算値と、天文単位で表現した実際の距離が一致しているのだ。
水星 | 金星 | 地球 | 火星 | ケレス | 木星 | 土星 | 天王星 | 海王星 | 冥王星 | |
番号 | -∞ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | -- | 7 |
計算値 | 0.4 | 0.7 | 1.0 | 1.6 | 2.8 | 5.2 | 10.0 | 19.6 | -- | 38.8 |
実際の距離 | 0.39 | 0.72 | 1.00 | 1.52 | 2.77 | 5.20 | 9.54 | 19.19 | 30.06 | 39.44 |
チチウス・ボーデの法則は、海王星を除いて非常に精度良く各軌道を表現している。
チチウス・ボーデの法則は経験則
チチウス・ボーデの法則は力学的な計算によって導かれたものではない。
そのため、「法則」ではなく、むしろ「経験則」と見なす方がより適当である。
たとえば、ケプラーの第三法則は惑星の観測から発見されたものだ。
それだけだったら、「惑星の観測からこのようなことが言えます」に留まってしまう。
ところが、ケプラーの第三法則はニュートンの運動方程式から計算によって導くことができる。
つまり、ケプラーの第三法則は単なる「経験則」ではなく物理学の裏づけを持っているのである。
ところが、チチウス・ボーデの法則は「惑星の観測からこのようなことが言えます」に留まっている。
力学や他の、諸法則から導くことは、(現在のことろ)出来ていない。
物理学の裏づけがないのだ。
このことから、「チチウスボーデの法則は単なる偶然」と考える研究者も多い。
一方で、惑星の周囲を回る衛星の配列にもチチウスボーデの法則が適用できそうだと主張する人々もいる。
チチウス・ボーデの法則の歴史
チチウス・ボーデの法則が広まった当初、ケレス・天王星・海王星、冥王星は未発見であった。
つまり、チチウス・ボーデの法則が知られた時代は、水星、金星、地球、火星、木星、土星の6つしか知られていなかった。
「チチウス・ボーデの法則は惑星の位置を良く表しています」と言っても、n=3(ケレス)の位置が空席だったことから、この法則はあまり重要視されなかった。
水星 | 金星 | 地球 | 火星 | --- | 木星 | 土星 | |
番号 | -∞ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
計算値 | 0.4 | 0.7 | 1.0 | 1.6 | 2.8 | 5.2 | 10.0 |
実際の距離 | 0.39 | 0.72 | 1.00 | 1.52 | --- | 5.20 | 9.54 |
ところが、1781年に状況が急転する。
ウイリアム・ハーシェルによって発見された天王星が、ずばりn=6だったことから、チチウス・ボーデの法則の信憑性が増したのだった。
n=3の位置を埋める惑星があるはずだ。
このような思惑から、n=3の位置を埋める天体の捜索が活発になった。
結局、1801年に小惑星(ケレス)が発見されたのだ。
その後の海王星は、チチウスボーデの法則から完全に逸脱しており、理論的な基盤を持たないだけに現在では、チチウスボーデの法則は重要視されていない。
最近では、太陽系外惑星系の発見が続いているが、観測精度が向上し、他の惑星系でもチチウスボーデの法則が再現するかどうかが(一部で)注目されている。
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参考文献・サイト
Titius-Bode Law
The Titius-Bode Law
2007/08/20
2008/09/09