地球近傍天体/NEOを語る。
地球近傍天体とは
地球に極めて接近する可能性のある天体(特に彗星、小惑星)を総称して地球近傍天体[NEO]という。
NEOのうちのいくつかは、地球への衝突の危険をはらんでいる。
1km以上の天体が地球に衝突した場合、その被害は全世界に及ぶ。
恐竜の絶滅は、巨大な隕石(または彗星)がユカタン半島に衝突したことが原因であった。
NEOの衝突を未然に把握するために、たえず観測が継続されている。
このような監視活動・監視団体をスペースガードという。
地球近傍天体の特性
地球近傍天体[NEO]のうち、小惑星をNEA[Near Earth Asteroid]、彗星をNEC[Near Earth Comet]という。
2008年9月11日現在、5611個のNEOが確認されている。
直径1キロメートル以上あるNEOは、その内の751個である。
NEA
NEAにはアポロ族、アムール族、アテン族の3つがある。
これらをイニシャルからAAA天体とよぶ。
NEOとして認識されている天体の大部分はAAA天体である。
NEAの中で特に地球への衝突の可能性の高い小惑星をPHA[Potentially Hazardous Asteroid]という。
971個がPHAとみなされている。
NEC
NECは短期彗星に限られる。
PHA
NEAの中で特に地球への衝突の可能性が高い小惑星がPHAだ。
基準としては、直径100メートル以上、地球から0.05AU(約748万キロメートル)以内に接近する小惑星がPHAに該当する。
「衝突の可能性が高い」と言っても、「長期的に見れば衝突するかもしれない」程度の危険性である。
現在発見されているPHAの中には近未来に衝突する危険のものは無い。
PHAの軌道は、地球や月などから重力の影響を受け、軌道が徐々に変化する。
その結果、地球への衝突コースに乗ってしまう場合もある。
ここから、PHAの継続的な監視活動が必要になるのである。
地球近傍天体のニアミスの事例
2002年1月7日
2001 YB5が、地球から83万キロメートル(月までの距離の2.5倍)まで接近した。
2001 YB5は直径が300メートルある。
2004年3月18日
2004 FHが、地表から4万3000キロメートルまで接近した。
2004年3月31日
2004 FU162が、表面からは約7000キロメートルまで接近した。
この距離はおよそ地球の半径に相当する。
2004 FU162の直径は約6メートルである。
仮に地球への衝突コースを進んだとしても、大気圏で燃え尽きてしまうサイズである。
2008年10月07日
2008 TC3が、大気圏に突入し、スーダン上空で爆発した。
この事例は、天体が地球へ衝突することが事前に補足された初のケースである。
スペースガードと地球近傍天体
スペースガードとは
地球近傍天体の脅威が認識されてから、これらを観測する国際組織が1996年に設立された。
これがスペースガード財団 である。
日本では日本スペースガード協会がこの役を担っている。
人類の宇宙開発に伴って発生した宇宙のゴミ「スペースデブリ」も地球への衝突の危険をはらんでいる。
スペースガードは、スペースデブリの観測も行っている。
一方でスペースデブリは地球近傍天体には含まれない。
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参考文献・サイト
NASA:Near Earth Object Program
Trans-Neptunian object
Kuiper Belt Page
日本スペースガード協会
PHAと呼ばれる地球近傍小惑星
2007/08/13
2008/09/15