AAA天体を語る。
AAA天体とは
小惑星は、火星と木星の間のメインベルト、および海王星以遠のカイパーベルトに多く存在する。
これら小惑星は、軌道の特性によっていくつかの「群」または「族」に分けられる。
小惑星の中には、地球に非常に接近する群もある。
それが、アモール群、アポロ群、アテン群だ。
これらをイニシャルでAAA天体と呼ぶ。
群 | アモール群 | アポロ群 | アテン群 |
近日点距離q | 1.017AU <q≦ 1.3AU | q ≦ 1.017AU | q ≦ 1.017AU |
軌道半長径a | - | a ≧ 1.0AU | a < 1.0AU |
遠日点距離Q | - | - | Q ≧ 0.983AU |
軌道の特徴 | 地球軌道と交差しない | 近日点付近で地球軌道と交差する | 遠日点付近で地球軌道と交差する |
代表例 | (433)エロス (1221)アモール | (1566)イカルス (1862)アポロ | (2062)アテン (3753)クルイシン |
AAA天体と彗星の軌道
AAA天体と短期彗星は軌道が似通っていることが分かっている。
現在では、AAA天体は短期彗星の成れの果てという考え方が有力だ。
彗星の核は「汚れた雪だるま」と表現される。
岩石質の塵(チリ)と凍りついた揮発成分がミックスされているのだ。
彗星は太陽に接近すると、熱により揮発分が蒸発し尾が作られる。
太陽を何回も周回するうちに、彗星の核は揮発分をすべて失い、小惑星になる。
これがAAA天体なのだ。
AAA天体とNEO
地球に接近する天体をNEO[[Near Earth Object:地球近傍天体]と総称する。
AAA天体は地球に接近することから、NEOに含まれる。
NEOは、地球への衝突により大規模な災害をもたらす危険がある。
このため、NEOを捜索し監視する国際的な活動が必要になる。
このような活動をスペースガードという。
AAA天体のなかで、特に潜在的に地球と衝突する可能性をもつ小惑星をPHA[Potentially Hazardous Asteroid]という。
AAA天体をNEA[[Near Earth Asteroid:地球近傍小惑星]と表現する場合もある。
PHAは、NEAに含まれることになる。
軌道が確定していれば、地球への衝突がいつ起こるか分かりそうなものだが、そうはいかない。
AAA天体は水星、金星、地球、火星のすぐそばを通過する際、重力の影響(摂動という)を受け軌道が容易に変化しやすい。
つまり、長期的にはまったく予断を許さないのだ。
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参考文献・サイト
小島卓雄「地球を狙う危険な天体」裳華房,1994
ジョン・グリビン,メアリー・グリビン「彗星大衝突」三田出版会,1997
日本スペースガード協会
Wikipedia「地球近傍小惑星」
Wikipedia「Near-Earth asteroid」
2010/11/21