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ルナ・プロスペクターを語る。

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1976年8月のルナ24号以来、20年ぶりの月探査を実施したのがクレメンタインである。
クレメンタインの最大の成果は、極域に氷の存在を示唆するデータを得たことだ。
これにより、再び月は科学的探査の対象として関心がもたれるようになった。


ルナ・プロスペクター
ルナ・プロスペクター
出展:NSSDC:Lunar Prospector

ルナ・プロスペクターは、NASAのディスカバリー計画の一つとして総経費6280万ドルで運用された月探査機である。
3方向に長く伸びたブームがその特徴だ。

1998年1月に打ち上げられた。

ルナ・プロスペクターの狙いは、月面全エリアの鉱物資源の分布を探査することである。


コストダウンのために観測機器も、

の5つに厳選されている。
その中でも特に重要な任務は、極域の氷の存在を裏付けることである。


月は濃い大気を持たないため、宇宙線太陽風がその表面を直撃する。
地表に突入した宇宙線太陽風は減速し地下1メートル程度の場所で地中の元素を破壊する。
この影響で中性子が生じて月面から飛び出してくる。


このとき、地表に水素があると、中性子の量が変化する。
水素の存在形態は氷と考えられている。
中性子スペクトロメーターは、中性子の量を測定して月面の水素、つまり氷の有無を判定する。


高度100kmの軌道でマッピングを、その後高度40kmでの詳細マッピングを実施した。
この活動により、月の極地域のクレーターの底部に約60億トンの水(氷)が存在する可能性が大きく高まった。


ルナ・プロスペクターのミッションの終了段階では、ルナ・プロスペクター自体を極地域に衝突させる実験を行った。
もし、極地域に氷が存在するのであれば、衝突によって発生する土煙に水蒸気が含まれるはずである。
ルナ・プロスペクターを秒速18mで、南緯87.7度、東経42度の地点に衝突させて、これを地球から観測しようとしたのである。


各地の天文台やハッブル宇宙望遠鏡がこの衝突を観測したが、水蒸気の発生は確認されなかった。
ルナ・プロスペクターは氷の岩盤を外れて衝突した、衝突のエネルギーが不足していた等の原因が仮説として考えられている。

その後のヨーロッパ宇宙機関[ESA]のSMART-1による探査でも、氷の存在を示す決定的な確証は得られなかった。
氷発見の期待は、日本の「かぐや」、中国の「じょうが」、NASAのルナー・リコナイサンス・オービタエルクロスにかかっている。



ルナ・プロスペクターにはユージン・シューメイカー博士の遺灰も積まれてた。
ミッション最後の衝突によって、シューメイカー氏は著名な天文学者であるばかりでなく、世界で初めて月面葬された人物になったのである。

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参考文献・サイト

Lunar Prospector:Solar System Exploration
Lunar Prospector Website
NSSDC:Lunar Prospector Website

2009/11/19



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