ビッグバンとインフレーション宇宙のQ&A
宇宙は晴れて透明になったの?
宇宙の最初の38万年は不透明だった。
現在の科学では、地球から100億光年以上離れた銀河も観測することができるようになりました。
これは、この銀河を出た光が、何かに妨害されることなく100億光年の距離を直進してきたことを示しています。
光が直進できるのだから、宇宙は濁っていないし曇ってもいません。宇宙は透明なのです。
宇宙が始まって137億年が経過しましたが、最初から透明だったわけではありません。
生まれてから38万年後に、宇宙は突如として透明になりました。
急に霧が晴れて遠くの景色が見えるようになったイメージなので、この現象を宇宙の晴れ上がりといいます。
それ以前の宇宙は不透明で遠くを見通すことができませんでした。
なぜ、最初の宇宙は不透明だったのでしょうか?
なぜ、突然、宇宙の晴れ上がりが起きたのでしょうか?
約137億年前、一点に集中していた宇宙が急激な膨張を始めました。
急激な膨張の直後に物質が生成され、宇宙が広がっていったのです。
宇宙全体の物質が一点に集まっていたのですから、初期の宇宙はギュウギュウ詰めでした。
ビッグバン直後の宇宙は非常に高温・高密度の状態だったのです。
高温・高密度の状態では、原子核と電子はバラバラに飛び交っているので、光は散乱してしまい直進できません。
高温・高密度の宇宙は、不透明なのです。
宇宙が膨張していくと、物質の間にすきまが広がり、宇宙の密度はだんだんと下がっていきました。
そしてビッグバンから38万年たったとき、突如として変化が起こります。
原子核が電子を捕まえて原子になったのです。
原子は光を散乱しないので、このときから光が直進できるようになりました。
このとき、直進を始めた光は今も宇宙を飛び交っています。
これが宇宙マイクロ波背景放射です。
これは言い換えると、晴れ上がる以前の宇宙を電磁波(光や電波)で調べることができないことを意味します。
ビッグバン直後から晴れ上がる直前までの宇宙を調べるために重力波による探査が期待されています。
残る謎
今、銀河間のガスを観測すると大部分が電離しています。
これは宇宙の晴れ上がり以後のどこかの時点で、ガスが再び電離してしまったことを物語っています。
この現象を宇宙の晴れ上がりに対比して、宇宙の再電離といいます。
再電離は宇宙誕生後、2億年くらいの時期に起こったようですが、詳しいことは分かっていません。
中性の水素ガスを電子と原子核(陽子)に電離するには、それなりのエネルギーが必要になり、しかも、銀河間のガスの大部分を電離させるなら、そのエネルギーは途方もない量になるはずです。
そのエネルギーはどこから、どのように供給されたのでしょうか?
この疑問は今も未解決のままですが、謎を解くヒントはあります。
それは宇宙の第一世代の恒星による影響です。
ビッグバンによって水素とヘリウムが作られました。
宇宙の第一世代の恒星はこれらを材料として生まれた星です。
太陽のような恒星(第三世代)とは違って、重元素を含みませんので第一世代の恒星は巨大で高温でした。
そのため、第一世代の恒星は紫外線の放射が強かったので、晴れ上がりで中性になった原子を再電離できたのだと考えられています。
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参考文献・サイト
Black Holes FAQ
Q & A: Black Holes
2012/07/31